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登渡神社(登戸神社)

(とわたり じんじゃ のぶと じんじゃ)

登渡神社は、千葉市中央区登戸に位置し、千葉氏ゆかりの妙見社の一つとして知られています。西千葉地域の総鎮守であり、地元では「登戸神社」の通称で親しまれています。この神社は、千葉氏の末裔によって創建され、地域の歴史と深く結びついた存在です。

祭神とご利益

登渡神社では、次の神々が祭られています。

これらの神々は「造化三神」と称され、日本の創造神話における天地開闢の神々として崇められています。また、天日鷲命も含め、自然と生命の創造・繁栄のご利益があるとされています。

登渡神社の歴史

登渡神社の起源は、千葉氏の末裔である登戸権介平定胤(へいさだたね)が、祖先を供養するために千葉妙見宮(現・千葉神社)の末寺を勧請したことにあります。

千葉氏の歴史的背景

登戸権介平定胤は、千葉氏の血統を受け継ぐ武士であり、江戸時代の1644年(正保元年)9月5日、標高15メートルの「遠望台」と呼ばれる高台に千葉妙見宮の末寺を設立しました。これが後に登渡神社となったのです。また、守護職には、千葉氏の門族出身の僧・定弁が任命され、白蛇山真光院定胤寺がこの神社の起源とされています。

明治時代の神社改革

登渡神社は1867年(慶応3年)12月26日に神社として正式に「登渡神社」と名を改めました。同時に、祭神を妙見菩薩と同一視された「天御中主命」以下の三柱の神々に定められました。さらに、1908年(明治41年)には、現在の千葉市中央区新千葉三丁目にあった鷲神社が合祀され、鷲神社の祭神「天日鷲命」も祭られることとなり、現在の四柱が祀られる形となりました。

平成時代の改修と整備

1990年(平成2年)には大規模な整備が行われ、本殿は境内奥に移築されました。さらに、その手前には新たに拝殿と幣殿が設けられました。そして1994年(平成6年)には、登渡神社の鎮座350周年を記念して、正面階段と参道が修復され、新しい鳥居も建立されました。これにより、地域の人々にとって親しみやすい神社となり、参拝の際の景観も一新されました。

例祭と神輿渡御

登渡神社では、毎年9月4日から6日の3日間にわたって例祭が斎行されます。この例祭の中でも、9月5日に行われる「神輿渡御」は特に見どころで、地元の人々や観光客が集まり、活気に満ちた祭りの雰囲気を楽しむことができます。

登渡神社の社殿と文化財

登渡神社の社殿には、歴史的・文化的価値のある建造物が含まれており、千葉市の文化財にも指定されています。

本殿

本殿は、総欅造で方3間の入母屋造りで、屋根には銅板瓦が葺かれています。もともとこの神社は寺院であったため、伽藍構造の特長を持つ建物が特徴です。下総国葛飾郡八木村の棟梁・紋次郎が建築を手掛け、彫刻は信州上諏訪(現・長野県諏訪市)出身の彫刻師である立川内匠正(和四郎富昌)によって施されました。この彫刻は千葉市の有形文化財にも指定されています。本殿は1860年(嘉永3年)6月に信徒の浄財500両によって完成し、現在の場所には平成2年に移築されました。

拝殿

拝殿は、間口6間、奥行3間の規模で、檜造の入母屋造りとなっています。屋根は銅板の一文字葺きで、平成2年に完成しました。拝殿は参拝者が神々に祈りを捧げる場所として、荘厳な佇まいを見せています。

幣殿、神饌所、祭器庫

幣殿、神饌所、祭器庫は、間口5間、奥行2間半で切妻屋根の構造を持っています。これらの建物も平成2年に完成し、社殿としての機能を一層充実させています。

文化財

登渡神社には、彫刻や地域文化財として登録されているものもあり、その歴史的・文化的価値が評価されています。

本殿小壁嵌板彫刻

登渡神社の本殿小壁嵌板彫刻は、1968年(昭和43年)に千葉市有形文化財(彫刻)として指定されています。細部にまで精緻な彫刻が施されており、訪れる人々に高い芸術性と歴史の趣を感じさせます。

登戸の神楽囃子

「登戸の神楽囃子」は、2008年(平成20年)に千葉市の地域文化財(無形民俗文化財)に登録されています。これは地域の伝統的な音楽文化として保存されており、祭りの際には神楽囃子の音色が登渡神社の雰囲気をより一層引き立てます。

その他の名所

登渡神社の境内および周辺には、見どころがいくつかあります。

葛飾北斎『冨嶽三十六景』「登戸浦」

葛飾北斎の名作『冨嶽三十六景』の「登戸浦」は、登渡神社が位置する場所とされており、北斎がこの地域の美しい景観を描いた作品として有名です。

富士講の石柱

本殿横の丘の頂上には、富士講の山水講によって建てられた石柱が残されています。この石柱は明治15年(1882年)のもので、富士山信仰の象徴とされています。

一等水準点

神社の正面鳥居脇には、一等水準点が設置されており、地形的にも興味深いポイントです。

アクセス情報

登渡神社へのアクセスは、京成千葉線の新千葉駅から徒歩5分で、国道14号(千葉街道)方向に向かうと到着します。千葉市中央区の中心部に位置しているため、観光や参拝に非常に便利です。

千葉市の歴史と文化を感じられる登渡神社は、地域の人々からも愛され続ける神社です。四季折々の景観と共に、日本の神話と歴史に触れることができる場所として、訪れる人々に神秘的なひとときを提供しています。

Information

名称
登渡神社(登戸神社)
(とわたり じんじゃ のぶと じんじゃ)

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