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市原湖畔美術館

(いちはら こはん びじゅつかん)

市原湖畔美術館は、千葉県市原市に位置する美術館で、高滝湖の湖畔に佇んでいます。1995年に「市原市水と彫刻の丘」として開館し、2013年にリノベーションされ「市原湖畔美術館」として新装開館しました。美しい自然の中で芸術作品を鑑賞できる場として親しまれ、多くの観光客が訪れています。

常設展示室の魅力

市原湖畔美術館の常設展示室には、市原市名誉市民であり、日本を代表する版画家の深沢幸雄氏の作品が数多く展示されています。銅版画、ガラス絵、パステル画、書など、約500点の作品が収蔵され、年間を通じて展示替えを行いながら紹介されています。これにより、来館者は異なる時期に訪れることで、さまざまな作品と出会うことができます。

高滝湖の湖上作品

市原湖畔美術館の魅力は館内の展示にとどまらず、高滝湖の湖上にも広がっています。湖の上には、芸術作品が展示され、訪れる人々に非日常的な体験を提供しています。自然と芸術が融合した独特の空間は、美術館を訪れる楽しみをさらに深めてくれるでしょう。

利用案内

開館時間: 平日は10:00から17:00まで、土曜日と祝前日は9:30から19:00まで、日曜と祝日は9:30から18:00まで開館しています。
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始が休館日となります。
入館料: 一般は200円、大高生および65歳以上は100円、中学生以下および障がい者手帳保持者は無料です。

深沢幸雄 ― 日本の版画家

深沢幸雄氏(1924年7月1日 - 2017年1月2日)は、戦後日本の銅版画を代表する版画家です。彼は、多摩美術大学の名誉教授であり、その芸術作品は国内外の多くの美術館に収蔵されています。

深沢幸雄の略歴

出生と幼少期

1924年に山梨県で生まれ、幼少期を朝鮮半島で過ごしました。中学時代に美術に興味を持ち、油彩画や陶芸にも関心を示していたことが後の芸術活動に影響を与えたと言われています。

美術学校時代と戦時中の体験

東京美術学校(現在の東京藝術大学)に入学し、彫金を学びました。しかし、在学中に東京大空襲で負傷し、戦後に復学してデッサンに専念しました。その後、詩人の川路柳虹の紹介で結婚し、厳しい生活環境の中で銅版画の世界に進むことを決意します。

メキシコ訪問と作品の変遷

1963年にはメキシコへ招かれ、現地の学生たちに銅版画の技法を教えました。メキシコの歴史や文化に触発された深沢氏は、それまでのモノクロ中心の作品から鮮やかな色彩を取り入れた作風へと転換しました。彼の作品には、メキシコの象徴や神話が描かれ、独自の歴史観や文化解釈が表現されています。

深沢幸雄の作風と技法

深沢氏の作品は、メゾチントと呼ばれる銅版画技法を用いることで知られています。メゾチントは、版に溝をつけインクを詰めて色彩を表現する技法で、深沢氏はこの技法を独自に発展させ、大型の作品も制作できるようにしました。さらに、多版多色刷りを用いて色彩を加えた作品も手がけています。

多彩な芸術表現への挑戦

深沢氏は、銅版画にとどまらず、陶芸や書、ガラス絵、パステル画など幅広い芸術表現に取り組みました。彼の作品は単なる視覚的な美しさだけでなく、深い人間性や哲学的なメッセージを内包しています。

深沢幸雄の受賞と評価

深沢氏は、数々の国内外の賞を受賞し、その功績が評価されています。1972年にはフィレンツェ国際版画ビエンナーレでバンコ・デ・ローマ賞を受賞し、1987年には紫綬褒章を受章しました。また、1995年には勲四等旭日小綬章を受章し、2014年には市原湖畔美術館で回顧展が開催されるなど、彼の作品と功績は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

代表的な受賞歴

後世への遺産

深沢氏の作品は、彼の故郷である山梨県の美術館や市原湖畔美術館など、多くの美術館で収蔵され、展示されています。彼の芸術活動を通じて、芸術文化の普及や後進の指導にも尽力し、彼の影響を受けたアーティストたちが今も新しい作品を生み出しています。

市原湖畔美術館を訪れる魅力

市原湖畔美術館は、高滝湖の自然豊かな環境の中で、深沢幸雄氏の作品をはじめとした多くの芸術作品を楽しむことができる美術館です。芸術と自然が融合する独特の空間は、訪れる人々に特別なひとときを提供してくれるでしょう。美術鑑賞の他にも、湖畔でゆったりと過ごす時間も楽しむことができるため、ぜひ訪れてみてください。

Information

名称
市原湖畔美術館
(いちはら こはん びじゅつかん)

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