概要
金蔵寺は、千葉県船橋市金杉にあり、静かな環境の中で歴史と文化を感じることができるお寺です。このお寺は長い歴史を持ち、境内にはさまざまな堂宇や見どころがあります。参拝客にとって、心を落ち着かせ、祈りを捧げる場所として知られています。
金蔵寺の由緒
創建と伝承
金蔵寺の創建は1423年(応永30年)に遡ります。伝承によると、常陸国の守護大名佐竹義仁に招かれた越後国出身の僧、能勝阿闍梨が下総国の金杉村(現在の船橋市金杉)にて、光が放たれる場所があると聞き、21日間の護摩を修しました。夢に円仁(慈覚大師)が現れ、不動明王像がその地に埋まっているとのお告げを受けた能勝は、村人と共にその場所を掘り起こしたところ、円仁作の不動明王像が発見されました。その場所からは水が湧き出し滝となり、これが金蔵寺の始まりとされています。
江戸時代からの変遷
江戸時代になると、金蔵寺の境内は幕府直轄の小金牧の範囲に含まれることになり、住職は村内に移住し、8月のみ入山を許されるようになりました。それでも大祭は続けられ、明治時代に牧馬がなくなると、金蔵寺は元の敷地に戻ったとされています。
『千葉県誌 稿本 巻上』の記述
1919年に編纂された『千葉県誌 稿本 巻上』には、金蔵寺の由来が以下のように記されています。
「応永三十年七月、越後の僧能勝が草庵を結び不動尊を安置し、堂宇を営んでこれを移したものが金蔵寺である。」
伽藍(堂宇・建造物)
金蔵寺の境内には、さまざまな堂宇や建造物が点在しています。それぞれの建物は歴史や宗教的意義を持ち、参拝者に深い感銘を与えています。
本堂(不動堂)
現在の本堂は2000年(平成12年)に建立されました。ここには、伝円仁作とされる木造不動明王立像が安置されています。参拝者はこの不動明王に対して祈りを捧げ、心の平安を求めます。
大師堂
大師堂は、金蔵寺の旧本堂で、現在は弘法大師(空海)を祀っています。内部には、大絵馬や奉納額が掲げられており、参拝者はここで空海への祈りを捧げます。
観音堂
観音堂は、真言宗豊山派の総本山である長谷寺(奈良県桜井市)の十一面観音を写して本尊としています。堂内の天井には、日本画家・児玉輝彦によって描かれた百人一首が施されています。
三重塔
2018年(平成30年)4月に完成したこの三重塔は、船橋市内初の三重塔として注目を集めています。内部には、胎蔵界と金剛界の大日如来、そして薬師如来の三像が安置されています。
仁王門
仁王門は、旧本堂と同時期に建造された約200年前の建物です。明治時代と昭和時代に修理が施され、現在もその風格を保っています。
行者滝(不動滝)
この滝は、弘化4年(1847年)に作られたもので、1979年(昭和54年)に再建されました。不動明王に関連する修行の場として、長年にわたり信仰を集めています。
弁天池
仁王門の前には、美しい湧水でできた弁天池が広がっています。池の中央には六角形の弁天堂があり、参拝者はその景観を楽しむことができます。
表門
1973年(昭和48年)に建てられた表門は、境内の欅のみを使用して作られました。表門から1キロメートルにわたる参道には、四国八十八箇所の弘法大師像が点在しており、巡礼の気分を味わうことができます。
御滝信仰
金蔵寺における「御滝信仰」は、滝に打たれて修行する行者たちの姿が有名です。幕末から明治にかけて、多くの行者が滝に打たれながら精神を鍛え、祈りを捧げていたといわれています。
四季の風景
「下総国金椙御滝山不動堂之図」という四季を描いた絵があり、それぞれの季節における金蔵寺の風景が描かれています。春には新緑、夏には青々と茂る木々、秋には紅葉、冬には雪景色が美しく描かれています。
交通アクセス
電車と徒歩
新京成電鉄新京成線「滝不動駅」から徒歩約15分でアクセスできます。
バス
船橋新京成バスを利用する場合、船橋駅北口から三咲駅経由鎌ヶ谷大仏・小室駅行きに乗車するか、三咲駅から船橋駅北口行きに乗車し、「御滝不動」バス停で下車します。そこから徒歩3分ほどです。