千葉寺の概要
千葉寺は「海上山」という山号を持ち、本尊には十一面観世音菩薩が祀られています。ご詠歌「千葉寺へ詣る吾が身もたのもしや 岸うつ波に船ぞうかぶる」にも詠まれているように、参拝者の心を癒やす静かな場所です。
本尊の真言
千葉寺で唱えられる本尊の真言は「おん まか きゃろにきゃ そわか」で、訪れる人々に平安と加護をもたらすと信じられています。
千葉寺の歴史
千葉寺の歴史は古く、和銅2年(709年)に東国巡錫中の行基が十一面観音を安置したのが始まりとされています。聖武天皇の命によって「千葉寺」と称され、その後、千葉氏の祈願所として大切にされてきました。寺は千葉氏の居城である亥鼻城(千葉城)に近く、千葉氏との深い関わりが伺えます。
寺院の発展と変遷
千葉寺は1160年(永暦元年)に一度焼失しますが、その後再建され、奈良時代には立派な伽藍が整備されていたと考えられています。1950年代の発掘調査によると、旧寺の境内は126メートル四方あり、奈良時代の瓦も出土しています。江戸時代には山門が再建され、観音堂も1828年(文政11年)に再建されましたが、第二次世界大戦の空襲で焼失しました。その後、1976年(昭和51年)に再建されています。
千葉寺の建造物
- 本堂 - 十一面観世音菩薩を本尊とする本堂は、現在の千葉寺の中心的な建物です。
- 山門 - 天保12年(1841年)に再建され、千葉寺の歴史を感じさせる建造物です。
- 大師堂 - 千葉寺の信仰の象徴とも言える建物です。
瀧蔵神社
境内には千葉氏五守護神の一つである瀧蔵神社(りゅうぞうじんじゃ)が祀られています。御祭神は海津見神で、海上安全や漁業の守護神として地元で信仰されています。
文化財
千葉寺には、歴史的・文化的に価値の高い文化財が所蔵されています。その中でも重要な文化財をご紹介します。
千葉県指定天然記念物「千葉寺のイチョウ」
千葉寺の境内には、千葉県指定天然記念物として登録されている大きなイチョウの木があります。このイチョウは、千葉寺の歴史を見守ってきた象徴として、地域住民や参拝者に親しまれています。
銅梅竹透釣燈籠
重要文化財に指定されている銅製の梅竹透釣燈籠は、1550年(天文十九年)に鋳造されたもので、「千葉寺愛染堂 天文十九年」との銘が入っています。1910年(明治43年)に千葉寺東南方の竹薮で発見され、東京国立博物館に寄贈され、現在も同館で保存されています。
千葉寺の伝統行事「千葉笑」
千葉寺では「千葉笑」という伝統行事が行われており、古くから地域の習俗として親しまれています。この行事は江戸時代から「悪口祭」や「悪態祭」として知られ、徳川家康が「声の目安箱」として住民の意見を取り入れていたと言われています。
千葉笑の習わし
千葉笑は大晦日の深夜から元日の未明にかけて行われ、面や頬かむりで仮装した人々が千葉寺に集まり、権力者の不正や悪事を罵り合いながら、笑いで年を越します。この風習は、庶民の気持ちを表現する場として機能し、小林一茶や岡本綺堂もこの風習を題材に作品を残しています。
千葉寺や 隅に子どもも むり笑い(小林一茶)
現在では、「千葉笑い復興会」や「千葉笑い実行委員会」によって、この伝統行事が受け継がれ、地域の文化として大切にされています。
アクセス情報
千葉寺へのアクセスは、公共交通機関を利用すると便利です。鉄道やバスを利用したアクセス方法をご案内します。
鉄道でのアクセス
京成千原線「千葉寺駅」から徒歩約10分の場所にあります。駅からの道のりは比較的わかりやすく、初めて訪れる方でも安心です。
バスでのアクセス
JR千葉駅からは千葉中央バスや小湊鉄道バスが運行しており、「千葉寺」バス停で下車すると便利です。バスは、鎌取駅(千葉営業所)や千葉リハビリセンター、誉田駅、星久喜台、大宮団地、淑徳大学や大巌寺行きなどの路線が利用可能です。
周辺の札所
千葉寺は、坂東三十三観音の第29番札所として多くの巡礼者が訪れます。前後の札所は以下の通りです。
- 第28番札所 - 龍正院
- 第29番札所 - 千葉寺
- 第30番札所 - 高蔵寺(木更津市)
まとめ
千葉市中央区の千葉寺は、長い歴史と文化を誇る名所であり、さまざまな伝統行事や貴重な文化財を有しています。また、自然豊かな環境とアクセスの良さも魅力の一つです。歴史を感じる参拝や、伝統行事に参加することで、千葉寺ならではの文化と風情を味わうことができるでしょう。ぜひ、千葉市を訪れた際には千葉寺を訪れ、その歴史と文化に触れてみてください。