コレクションのテーマと特徴
千葉市美術館は、以下の3つのテーマに基づき、豊富な美術作品を収集しています。
房総ゆかりの作家・作品
千葉市を中心とした房総地域にゆかりのある作家や作品がコレクションに含まれています。たとえば、無縁寺心澄の作品を約950点、また浜口陽三の作品も約50点所蔵しています。
日本文化の核を形成する近世以降の美術品
公立美術館としては珍しく、浮世絵を充実して収蔵しています。浮世絵の祖・菱川師宣が房総出身であること、また浮世絵研究家であった今中宏が収集した渓斎英泉の作品が設立の契機となったことも影響しています。
現在、版画約1,000点、肉筆浮世絵約100点を所蔵し、常設展では毎月展示内容を変え、企画展でも年に1度は浮世絵の展覧会が開かれます。
現代美術
佐藤友太郎氏の寄贈により、約100人の作家による400点以上の現代美術作品も収蔵されており、順次展示・紹介されています。
代表的な収蔵作品
千葉市美術館は、江戸時代の絵画や日本画、近現代の美術作品を含むさまざまな作品を展示しています。以下に代表的な収蔵品をご紹介します。
江戸絵画・日本画
- 伊藤若冲「乗興舟」 - 1767年に制作された木拓摺画巻、ラヴィッツコレクション
- 葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 - 有名な「冨嶽三十六景」シリーズの一部
- 喜多川歌麿「納涼美人図」 - 1794年から1795年ごろの作品
- 東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」 - 歌舞伎役者を描いた作品
近現代美術
- 河原温「考える男」 - キャンバス油彩、1952年
- 草間彌生「№B White」 - 前衛芸術で有名な草間彌生の作品
- 浜口陽三「19と1つのさくらんぼ」 - カラーメゾチント、1965年
- 白髪一雄「天英星小李廣」 - キャンバス油彩、1961年
美術館の歴史と設立の背景
1982年、千葉市は「豊かな心と創造性をはぐくむ市民文化都市」を目指し、美術館の設立計画が始まりました。1989年には千葉市美術品等取得基金を創設し、作品収集を開始しました。1995年に千葉市美術館が開館し、開館記念展では大英博物館と共催で喜多川歌麿展を開催しました。
歴史的建造物「さや堂」の保存
千葉市美術館は、昭和初期に建設されたネオ・ルネサンス様式の旧川崎銀行千葉支店の建物を「さや堂」として保存しています。設計者の大谷幸夫は、この建物を活用し、美術館と区役所の両方を収容する建物を設計しました。
現代に合わせたリニューアルとデジタル化の取り組み
2020年7月11日、中央区役所が移転したのを機に、美術館内の拡張工事が行われ、新たにワークショップや図書室、子どもアトリエなどが設置されました。また、2021年にはデジタルミュージアム事業が開始され、コロナ禍での新たな取り組みも進められています。
利用案内
開館時間
10時から18時(入館は17時30分まで)。金・土曜日は20時まで開館(入場は19時30分まで)。
休館日
毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日 - 1月3日)、展示替時。
観覧料
展覧会によって異なりますが、小・中・高校生は無料。10月18日の千葉市民の日は無料開放されます。
交通アクセス
- JR千葉駅東口より徒歩約15分
- 千葉都市モノレール1号線葭川公園駅下車、徒歩5分
- 京成千葉中央駅東口より徒歩約10分
まとめ
千葉市美術館は、地域ゆかりの作品から近代・現代美術まで、多彩なコレクションを誇る美術館です。歴史的な建造物を保存しつつ、現代のニーズに応じたリニューアルやデジタルミュージアムの展開も行っており、訪れる人に新しい発見を提供しています。千葉市にお越しの際は、ぜひ一度足を運んでみてください。