島穴神社の祭神
主祭神
志那都比古尊(しなつひこのみこと)が主祭神であり、風の神として崇められています。この神は隣接する姉埼神社の支那斗弁命の夫、もしくは弟とされています。
配祀神
- 日本武尊(やまとたけるのみこと): 日本古代の伝説的英雄で、東国征伐を行った人物として知られています。
- 倭比売尊(やまとひめのみこと): 日本武尊の妃としても伝わる人物で、女性の神として祀られています。
島穴神社の歴史
創建の由来
島穴神社の創建は、『古事記』や『日本書紀』に記された景行天皇40年の出来事に由来しています。この記録によると、日本武尊が東征の途中で浦賀水道にて暴風雨に遭遇し、弟橘姫が命を犠牲にして嵐を鎮めた結果、無事に上総に上陸できたとされています。
社伝によると、日本武尊がその出来事に深く感謝し、弟橘姫の祈りを受け入れた龍田大社の神に報いるために、風の神である志那都比古尊を祀ることを決めました。さらに、日本武尊の死後、景行天皇が彼の偉業を記念して、日本武尊と倭比売尊を合祀したとされています。
神社の発展と昇格
島穴神社は、元慶元年(877年)に国史上「島穴神」として記載され、正五位下勲五等の神階を授かりました。927年成立の『延喜式』神名帳にも上総国海上郡に「島穴神社」として記載され、格式高い神社とされました。明治維新後には、近代社格制度において郷社として登録され、明治12年(1879年)には県社に昇格しました。
島穴神社の見どころ
境内
島穴神社の境内は自然豊かで、歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気が特徴です。東側には毎年5月にお田植祭、9月には抜穂祭が行われる「神饌田」があり、五穀豊穣を願う祭事が行われます。
宮之橋
この神社の境内にある「宮之橋」は、大正8年に造営された歴史的な橋で、美しい風景を引き立てています。写真愛好家にとっても絶好の撮影スポットです。
本殿と鳥居
本殿は美しい佇まいで、鳥居とともに神社の歴史を象徴しています。参拝者はこの神聖な空間で心を落ち着け、神に祈りを捧げます。
摂末社
島穴神社の境内には、疱瘡神社、第六天神社、道祖神社、八雲神社、浅間神社など、複数の摂末社が祀られています。これらの神社はそれぞれ異なる神を祀り、地域の人々に信仰されています。
浅間神社
特に浅間神社は、富士塚の上に位置し、神社からは美しい景色が望めます。浅間神社には、富士山信仰の一環として富士山が霊峰とされていることから、多くの参拝者が訪れ、清々しい気持ちで山の神に祈りを捧げます。
伝承と旧社地
旧社地について
現在の社地から北方約200メートル離れた場所に、島穴神社の旧社地とされる場所があります。この旧社地は、内房線を挟んで現社地の奥に位置しています。伝承では、かつてこの旧社地の林の中に深い穴があり、そこから絶え間なく清らかな風が吹き出していたとされます。
風が吹き続けていることから、これは風の神である志那都比古尊の力によるものであり、この地名「島穴」もこれに由来すると言われています。この穴の実在は確認されていませんが、古墳の石室であった可能性が考えられています。
島穴神社の現在の参拝情報
アクセス方法
島穴神社へのアクセスは、東日本旅客鉄道(JR東日本)内房線の最寄り駅「姉ケ崎駅」から徒歩で訪れるのが便利です。徒歩で約10分程度の距離にあるため、気軽に訪れることができます。
周辺観光地
島穴神社の周辺には、姉埼古墳群や姉埼神社といった歴史的な見どころが多く存在します。特に姉埼古墳群は、千葉県内でも有数の古墳群で、歴史や考古学に興味のある方には非常に魅力的なスポットです。
まとめ
島穴神社は、千葉県市原市の風光明媚な場所にあり、風の神である志那都比古尊を祀る格式高い神社です。由緒ある創建の歴史と、周囲に残る伝承の数々が、訪れる人々に日本の古代の歴史と信仰を感じさせます。現在も多くの人々が訪れる島穴神社は、訪れる者に歴史と自然の魅力を味わう場として愛されています。ぜひ、島穴神社を訪れて、古の時代に思いを馳せるとともに、神々への祈りを捧げてみてはいかがでしょうか。