歴史
養老川は、房総半島の中央部を流れる河川で、過去には頻繁に氾濫し、流域に大きな被害をもたらしていました。このため、地域住民からは本格的な河川改修が強く望まれていました。さらに、京葉工業地帯の発展に伴う人口増加に対応するため、利根川以外の河川水源開発も必要とされ、高滝ダムの建設計画が立てられました。
1958年に建設候補地の選定が行われ、1970年から実施計画調査が開始されました。1974年には正式に建設事業が始まり、1990年に完成しました。
高滝ダムの特徴
- ダムの高さに比べてダム頂長が非常に長い構造
- 貯水容量に対して堤体積が小さく、貯水効率が高い
- 日本では珍しい軟岩上に基礎を置くダムで、底幅が広い
- 洪水吐ゲートで貯留するゲート貯留ダム
また、コンクリートの施工にはベルトコンベヤ工法が採用されており、これは本州では初の例となりました。
水産資源の保護 - 浮産卵礁
ダム内には、養老川漁業協同組合により設置された浮産卵礁があります。ここではアユやフナ、コイ、ニジマス、ワカサギなどの水産資源が育成され、人工産卵場として利用されています。また、ヨシが水中のリンや窒素を吸収して成長することで、水質の保全にも寄与しています。
高滝ダム建設の年表
- 1986年12月21日 - 安全祈願祭
- 1987年11月14日 - 定礎式
- 1989年11月28日 - たん水式および貯水開始
- 1990年10月12日 - 完工式
- 1993年6月3日 - 給水開始
- 1995年11月1日 - 「水と彫刻の丘」展示棟開館
周辺施設と観光スポット
高滝ダム周辺には、ダムに隣接する高滝ダム記念館や水生植物園など、観光に訪れる人々が楽しめる施設が点在しています。特に高滝湖では、ブラックバス釣りや冬季のワカサギ釣りが人気で、ボートの貸し出しも行われています。
主要アクセス道路と交通機関
高滝ダムには、以下の主要道路や鉄道でアクセスが可能です。
- 千葉県道173号南総月出線
- 千葉県道168号鶴舞馬来田停車場線
- 千葉県道81号市原天津小湊線
- 小湊鉄道線 高滝駅
公共交通機関を利用する場合、小湊鉄道の高滝駅からは1.6kmの距離で、レンタサイクル「100円チャリ」を利用することも可能です。
市原湖畔美術館
市原湖畔美術館は、1995年に「市原市水と彫刻の丘」として開館し、2013年にリノベーションを経て新装開館した美術館です。この美術館は高滝湖の湖畔に位置しており、自然豊かな環境の中でアートと触れ合える観光スポットとして、多くの来場者を魅了しています。
美術館の特徴的な展示作品の一つである「Watermark」は、湖面のさざ波を模したデザインで、房総地方に関連する詩歌が刻まれています。美術館内外に展示されたアート作品は訪れる人々に豊かな芸術体験を提供します。
アクセス方法
市原湖畔美術館へのアクセスには、圏央道の市原鶴舞インターチェンジを利用し、県道168号を経由して2kmほどの距離です。小湊鉄道の高滝駅からもアクセスが可能で、徒歩やレンタサイクルを利用して訪れることができます。
養老川 - 地理と由来
養老川は千葉県南部を流れる二級河川で、房総半島を南北に貫く主要な河川です。千葉県夷隅郡大多喜町の清澄山北東部に源を発し、養老渓谷や粟又の滝などの観光名所を形成しながら流れ、高滝湖に注ぎます。さらに北に流れ、市原市から東京湾へ注いでいます。
名称の由来
養老川の名称の由来については、「膕(よほろ)」という古語が元であるとされ、この言葉は「ひざの裏」を意味します。川の曲がりくねった様子が由来となり、現在の「養老」という漢字が使われるようになりました。
高滝ダムの建設背景
高滝ダムの建設に至った背景には、頻発する養老川の氾濫と水資源の確保という二つの課題がありました。千葉県では、京葉工業地帯の発展に伴い人口が増加し、利根川に依存していた水資源の多様化が急務でした。こうした背景から、洪水調節と水道用水確保を目的とした多目的ダムとして高滝ダムが計画され、実施計画調査から21年を経て1990年に完成しました。
観光客を魅了する高滝ダム
高滝ダムは、千葉県内で最大の貯水面積を誇り、観光やレジャーを目的とした来訪者で賑わいを見せています。ワカサギ釣りやブラックバス釣りが人気で、ボート遊びも楽しめることから、家族連れや釣り愛好家にとって魅力的なスポットです。
さらに、ダム周辺にはテニスコートや野外音楽堂も整備されており、高滝ダム記念館ではダムの歴史や高滝地区の昔の様子を学ぶことができます。ダムを見渡せるレストランでは、絶景を眺めながら食事が楽しめるため、多くの観光客に親しまれています。