公園の歴史的背景
太田道灌と国府台城
15世紀にこの地には、太田道灌が仮陣を置き、弟の太田資忠が国府台城を築いたとされています。その後、16世紀には里見氏と後北条氏との間で「国府台合戦」が2度行われた歴史を持っています。
江戸川と「鴻の台利根川風景」
江戸川はかつて「利根川」とも呼ばれており、歌川広重の『名所江戸百景』の「鴻の台利根川風景」では、その周辺の風景が描かれています。この絵には崖の高さが誇張されていますが、里見公園付近を描いたものとされています。
公園の概要と見どころ
自然と文化が織り成す公園
公園は北と南の2つのエリアに分かれています。北半分は自然豊かな樹林が広がっており、古墳時代の遺跡である「明戸古墳」や、国府台合戦にまつわる伝説が残る「夜泣き石」、さらには詩人北原白秋の旧居である「紫烟草舎」が保存されています。これらは歴史と文化の遺産として、訪れる人々に深い感慨を与えます。
桜とバラの美しい西洋式庭園
南半分には、西洋式庭園が広がり、春には桜の花が咲き誇ります。近年では、バラの栽培にも力を入れており、季節ごとに美しい花々が公園を彩ります。さらに、斜面林には弘法大師(空海)が発見したと伝えられる「羅漢の井」と呼ばれる湧き水もあり、歴史的な趣を感じさせます。
市内最高標高地点
里見公園内には、市川市内で最も高い標高地点も存在しており、そこからの眺望は一見の価値があります。春や秋には、地元の小学校や幼稚園の遠足の目的地としても利用されています。
散策コースと周辺の名所
江戸川堤と矢切の渡し
公園の近くには、江戸川堤や「矢切の渡し」と呼ばれる渡し舟があり、これらを結んだ散策コースが整備されています。訪れる人々は、里見公園を中心に自然と歴史を感じながら歩くことができます。
市川水と緑の回廊
市川市では「市川水と緑の回廊」という散策路を整備しており、京成線国府台駅、江戸川堤、里見公園、国府台緑地、じゅん菜池緑地、小塚山緑地、堀之内貝塚公園、北総線北国分駅を結んでいます。この散策路を通じて、自然や歴史的スポットを一日かけて楽しむことができます。
公園の歴史的な沿革
総寧寺と公園の誕生
里見公園のある場所は、かつて総寧寺の境内の一部でしたが、明治時代に総寧寺が困窮した際、その一部が公園として開放されました。これが里見公園の始まりとされています。
陸軍病院と戦後の変遷
戦前、南半分の西洋式庭園の部分には旧陸軍の衛戍病院があり、戦後も国立国府台病院の精神科病棟として使用されていました。その後、1958年に市川市立の公園となり、病棟が移転した跡地が整備されて現在の西洋式庭園となりました。
里見八景園と戦前の遊園地計画
また、1933年までこの公園内には「里見八景園」と呼ばれる遊園地が存在していました。この遊園地には大滑り台やプール、演芸舞台などがあり、春には桜が咲き誇り、多くの観光客が訪れました。しかし、戦争が激化する中で閉鎖され、その後は陸軍の管理下に置かれました。遊園地の跡地には防空壕も作られましたが、現在では埋め立てられ整備されています。
アクセス
京成線 国府台駅からのアクセス
京成本線の国府台駅から江戸川堤を歩いて約15分、または同駅から京成バス松戸行きに乗り、国立病院前で下車し、徒歩5分です。
JR総武線 市川駅からのアクセス
JR総武線市川駅からも、京成バス松戸行きに乗り、同じく国立病院前で下車し、徒歩5分で到着します。
まとめ
里見公園は、歴史的な背景を持つ自然豊かな公園として、市民や観光客に愛され続けています。江戸川の美しい景観や、桜やバラが咲き誇る庭園、そして歴史的な遺構が点在するこの公園は、一日かけて散策するのに最適な場所です。春の花見や秋の紅葉、さらには歴史探訪まで、里見公園は四季折々の魅力を提供しています。