東光院の由緒
東光院の創建年代については詳細が不明ですが、寺の伝説によれば、かつては「広徳寺」と称され、千葉氏の祖である平良文の孫、平忠常(975-1031年)が人々の病気平癒を願って建立したと伝えられています。また、平常将が創建したとされる「平山寺」が、この寺の前身であったという説もあります。
皇族の平癒祈願と寺号の由来
安土桃山時代、正親町天皇(第106代天皇)の皇子、誠仁親王の第一皇子である後陽成天皇が病気の際、東光院の祈願によって平癒したといわれています。その際、弘法大師(空海)が唐より持ち帰ったという「五部の鈴」を賜り、1576年(天正4年)に鈴得山東照院大金剛寺と称されました。しかし、1702年(元禄15年)、幕府の命により「東照大権現」と重なる「東照院」から「東光院」へと寺号が改められました。
遺跡からの出土品と火災
東光院の前身とされる寺院跡からは布目瓦が出土しています。布目瓦は平安時代ごろに多く作られたもので、貴重な歴史的遺物とされています。また、東光院は幾度かの火災に見舞われ、そのため記録や寺宝の多くが失われました。
文化財と本尊
県指定有形文化財:木造伝七仏薬師如来坐像
東光院の本尊は「七仏薬師如来」で、千葉県指定有形文化財です。この薬師如来は木彫坐像であり、11世紀初頭に作られたとされています。右手で施無畏(せむい)の印を結び、左手には薬壺を持ち、病気平癒を願う姿で表されています。厨子に祀られている秘仏であり、33年に一度のご開帳でのみその姿を拝むことができます。
市指定有形文化財
- 善光寺式観世音立像:鎌倉時代の檜一木造で、筒形宝冠をかぶり、両手を胸前に置いた菩薩像。昭和43年に千葉市指定有形文化財に指定。
- 木造天部形立像:通称「仁王さま」と呼ばれる天部形立像は南北朝時代の作で、本堂に祀られています。平成11年に千葉市指定有形文化財に指定。
- 銅板押出阿弥陀三尊像:室町時代の小型の像で、13センチの銅板に阿弥陀三尊が打出されています。昭和43年に千葉市指定有形文化財に指定。
十二神将
十二神将は、薬師如来を護る12の武神で、各神将がそれぞれ7千、総勢8万4千の夜叉を率いているといわれます。各神将の頭には十二支に対応する動物が戴かれており、東光院の堂内に配されています。
四季折々の美しい景観
春の景観
しだれ梅や紅梅、白梅が2月中旬から3月上旬にかけて咲き誇り、甘い香りが漂います。3月下旬から4月上旬には、しだれ桜、ソメイヨシノ、ヤマザクラが境内に咲き誇り、訪れる人々を楽しませています。さらに、4月下旬から5月上旬には、モクレン、シャクナゲ、春のボタンが見頃を迎えます。
夏の新緑
4月下旬から5月下旬にかけて、境内には爽やかな新緑が広がり、心地よい自然の癒しを提供します。
秋の紅葉
9月中旬から10月上旬には、境内の萩(はぎ)が咲き、11月中旬から12月上旬にかけて、境内は赤や黄色に染まる美しい紅葉に包まれます。紅葉の季節には多くの参拝者や観光客が訪れ、その色彩豊かな景観を堪能します。
東光院の魅力と見どころ
東光院は、歴史的な文化財や、薬師如来を祀る神聖な場所として、地元の方々に愛される寺院です。また、四季を通じて美しい景色を楽しめる場所でもあります。歴史ある遺跡、重要文化財である本尊、さらに境内を彩る季節の花々が訪れる人々を魅了します。特に33年に一度の秘仏ご開帳は、東光院の神聖な雰囲気をより感じられる貴重な機会です。
ぜひ、東光院を訪れてその歴史と自然の美しさを感じ、文化財や花々に癒されるひとときをお楽しみください。