概要
鯛の浦は、水深10~20メートルという浅い海域でマダイが群れる珍しい現象が見られる場所です。200ヘクタールにおよぶ海域が保護されており、釣りなどの遊漁が禁止されています。
この現象は古くから知られており、昭和期には観光遊覧船が登場しました。現在も船べりを叩く音に反応して集まるマダイの群れを見学できます。主にマダイが見られますが、クロダイやイスズミなども混じることがあります。
歴史
- 1922年(大正11年)3月8日 - 天然記念物に指定。
- 1967年(昭和42年)12月27日 - 特別天然記念物に指定。
- 1989年(平成元年)11月2日 - 鯛の浦がデザインされた寄附金付お年玉付郵便はがき地方版(千葉版)が発売。
- 2008年~2010年 - 遊歩道整備工事が実施。
伝説
小湊は日蓮宗の開祖である日蓮の生誕地であり、鯛の浦には多くの伝説が残されています。日蓮が誕生した際、鯛が飛び跳ね、ハスの花が咲き乱れたという言い伝えがあります。このことから、地元民はこの海域を「鯛の浦」と名付け、漁を禁じました。
また、日蓮が両親の供養のために小舟で訪れた際、海に題目を唱えると海面にその文字が現れ、鯛が集まってきたという伝承もあります。
地名と地震
1703年の元禄地震では、小湊海岸が陥没し、現在の鯛の浦が形成されたとされています。さらに、この地域は明応地震や元禄地震の影響で地形が大きく変わりました。このため、日蓮宗の僧たちが「妙の浦」「法が台」「蓮華が淵」などと名付けたと伝えられています。
鯛供養
毎年1月には「鯛供養」が行われます。網にかかった鯛を供養するもので、日蓮宗の題目を唱えながら洋上で供養が行われます。この海域の鯛は日蓮の化身とされ、生きて捕獲された場合は放流されます。死んだ場合は誕生寺の「タイ塚」に埋葬されます。
文化財
- 鯛の浦タイ生息地 - 1922年に天然記念物、1967年に特別天然記念物に指定。
周辺情報
- 千葉大学海洋バイオシステム研究センターこみなと水族館
- 千葉県指定天然記念物「明神ノ鯛」
アクセス
鯛の浦へのアクセスは、JR安房小湊駅から車で約10分です。遊覧船も運航されているため、ぜひ訪れてこの貴重な自然現象を体験してください。