施設の概要
設立の背景と歴史
勝浦宇宙通信所は1968年2月、当時の科学技術庁宇宙開発推進本部によって「勝浦電波追跡所」として設立されました。その後、1969年10月に宇宙開発推進本部が発展して宇宙開発事業団(NASDA)が設立されると、施設はNASDA所属となり、現在はJAXAの一部として運営されています。
役割と業務内容
主な業務は、人工衛星の追跡・管制です。人工衛星からの電波を受信し、衛星の軌道、位置、姿勢、搭載機器の状態を監視します。また、必要に応じて衛星に指令電波を送信することで、宇宙空間での安全な運用を支援しています。
施設規模
勝浦宇宙通信所の敷地面積は約5.4万平方メートルで、広大な敷地内に複数のアンテナや追跡管制設備が設置されています。
設備紹介
追跡・管制のための主要設備
- 広報用アンテナ:施設の広報活動で使用される設備。
- 新GN送受信アンテナ:人工衛星との通信を担う重要なアンテナ。
- USB (F)-1送信棟:指令電波を送信するための設備。
- USB (F)-2送信棟:指令電波を補完する送信設備。
- 追跡管制棟:人工衛星の追跡と管制を行う中心的施設。
追跡管制対象の人工衛星
勝浦宇宙通信所では、以下の人工衛星を追跡・管制しています:
- データ中継技術衛星「こだま」(DRTS)
- 太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)
- 技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」(ETS-Ⅷ)
- 超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)
- 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)
- 第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)
- 小型実証衛星4型「SDS-4」
- 惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)
- 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)
一般公開イベントと展示室
展示室の概要
勝浦宇宙通信所には一般向けの展示施設があり、年中無休で入館料無料です。展示室では、人工衛星や宇宙技術に関するパネルや模型が展示され、宇宙開発について学ぶことができます。
特別一般公開
毎年、「科学技術週間」や「宇宙の日」には特別一般公開が行われます。このイベントでは、施設の内部見学や専門家による解説、子ども向けのワークショップなどが催され、家族連れでも楽しめる内容となっています。
アクセス情報
所在地
住所:千葉県勝浦市
交通手段
- 電車:JR外房線「勝浦駅」からタクシーで約15分
- 車:首都圏中央連絡自動車道(圏央道)市原鶴舞ICから約50分
まとめ
勝浦宇宙通信所は、JAXAの重要な施設として、人工衛星の追跡・管制を通じて日本の宇宙開発を支えています。一般公開イベントや展示室の見学を通じて、宇宙技術への理解を深める絶好の機会を提供しており、観光や学びの場としても注目されています。千葉県勝浦市を訪れる際は、ぜひこの施設にも足を運んでみてはいかがでしょうか。