神社の概要と歴史
天津神明宮の起源
天津神明宮は、神代の昔、天孫降臨に伴う国譲りの際、事代主神が当地に鎮座したことから始まりました。地元では「庤明神」として崇められ、その後、鎌倉幕府を開いた源頼朝により、伊勢神宮から神霊が勧請されました。
頼朝が石橋山の戦いに敗れ安房に逃れた際、この地で再興を祈願したことで知られています。また、妻の政子の安産祈願も当神社で行われました。これらの歴史的背景が、天津神明宮を「房州伊勢の宮」として高い信仰の対象としています。
日蓮聖人との関わり
日蓮聖人も天津神明宮を深く尊崇していました。清澄寺への道中、必ず当社を参拝したと言われ、御遺文の中で「日本第二のみくりやや今は日本第一なり」と記されています。そのため、天津神明宮は日蓮宗においても重要な位置を占めています。
御祭神
天津神明宮には以下の神々が祀られています。
- 天照皇大神
- 豊受大神
- 八重事代主神(えびす様)
- 大山祇大神
- その他七柱の神々
これらの神々は、日本の平和と繁栄を見守る重要な存在として信仰されています。
境内の見どころ
県指定天然記念物「まるばちしゃの木」
境内西側にある「まるばちしゃの木」は千葉県の天然記念物に指定されています。これは亜熱帯性の落葉喬木で、中国南部や台湾、沖縄などに分布しているものです。当地はその北限とされ、大きな学術的価値を持っています。
この木は目通り周約1.6mの巨木で、初夏には白い小花を密集して咲かせ、秋には黄色い実をつけます。容易に発芽しないため「珍樹」とされ、地域のシンボル的存在となっています。
舞台と神楽
境内東側には、諾冉神社鳥居脇に舞台が設けられています。この舞台では毎年10月16日の例祭などで神楽舞や演芸が披露され、特に「浦安の舞」は地域の伝統として親しまれています。また、舞台奥は諾冉神社の遥拝殿としても機能しています。
自然と歴史の融合
天津神明宮の境内東側には「神明神社の林」として知られる極相林が広がっており、鴨川市の天然記念物に指定されています。この自然豊かな環境と歴史的建造物が一体となり、訪れる人々を魅了します。
天津神明宮の重要性
天津神明宮は800年以上の歴史を持ち、地域のよりどころとして信仰され続けています。また、神社の宝物として伝わる「川向の御曼陀羅(布本尊)」は、日蓮聖人が記念として奉納した貴重な遺産です。
「房州伊勢の宮」としての信仰
源頼朝の祈願が成就したことや日蓮聖人の崇敬を受けたことから、天津神明宮は「房州伊勢の宮」として特別な存在となっています。このような背景を持つ神社は、地域住民だけでなく、遠方から訪れる参拝者にも愛されています。
まとめ
天津神明宮は、歴史と自然が調和した素晴らしい神社です。源頼朝や日蓮聖人との関わり、天然記念物の存在など、多彩な魅力が訪れる人々を惹きつけます。歴史探訪や自然散策を楽しむ方にとって、ぜひ訪れるべき場所といえるでしょう。