千葉県の南東部に位置するいすみ市は、太東岬から南方の海岸部が南房総国定公園に指定されるなど、自然豊かな地域です。また、日本最大級の岩礁群が広がる大原漁港沖合は好漁場として知られ、特にイセエビの漁獲量では日本一を誇ります。自然豊かな風景、美しい海岸線、歴史的な名所が揃う魅力的な地域です。
いすみ市は2005年(平成17年)12月5日、夷隅郡夷隅町、大原町、岬町が合併して誕生しました。平仮名を用いた市名は、千葉県内で初めての事例です。市内の大原漁港沖には日本最大級の岩礁群があり、特にイセエビの漁獲量が日本一を誇ります。
いすみ市は千葉市から約45キロメートル、東京から70〜80キロメートル圏内に位置しています。九十九里浜の南端にある太東岬をはじめ、南房総国定公園に指定されている美しい自然が広がっています。市内を流れる塩田川や夷隅川沿いには水田が広がり、丘陵地には溜池やダムが点在しています。
いすみ市は、漁業や農業が盛んで、特に外房イセエビが有名です。このイセエビは千葉県水産ブランドやいすみブランドにも認定されています。また、「いすみ米」として知られる米や梨などの農産物も特産品です。
太東岬は九十九里浜の南端に位置する景勝地で、太平洋を一望できる絶景が楽しめます。八幡岬は歴史的な名所で、美しい海岸線と自然が魅力です。
大原漁港は日本最大級の岩礁群「器械根(きかいね)」を有する漁場で、多様な魚介類が獲れる場所です。新鮮な海産物を楽しむなら大原漁港近くの市場がおすすめです。
いすみ鉄道の「菜の花列車」は、春になると沿線に咲く菜の花が観光客を魅了します。レトロな列車の旅を楽しみながら、いすみ市の風景を満喫できます。
禅僧・夢窓疎石が隠棲生活を送った「退耕庵」、中世城郭の万喜城跡、「波の伊八」の彫刻が見られる寺院など、いすみ市には歴史と文化を感じられる名所が多くあります。
古代、いすみ市は「伊甚国」と呼ばれ、大和朝廷に海産物や農産物を献上していた重要な地域でした。古代の国府があったことを示す遺跡や記録が残されています。
鎌倉時代末期には、禅僧・夢窓疎石がこの地で隠棲生活を送りました。また、戦国時代には上総土岐氏が万喜城を拠点に地域を支配していました。
明治時代には鉄道が整備され、東京方面から避暑地として多くの人々が訪れるようになりました。昭和初期には「国吉米」としてブランド化された米が皇室献上米になるなど、地域の産業が発展しました。
いすみ市は夷隅川流域や大原浪花地区の粘土質の地質を活かし、広大な水田が広がっています。コシヒカリやふさおとめ、ふさこがねなどの品種が生産され、特に「いすみ米」はその味や形が評価され、皇室献上米として扱われた歴史があります。
山間部の里山地帯では、カキやキウイフルーツ、シイタケ、タケノコ、ブルーベリーなどが栽培されており、地域の特色を活かした農業が展開されています。また、温暖な気候を活かしたハウス・露地栽培によるキンギョソウや食用ナバナなどの商品植物の栽培も盛んです。
いすみ市では、土着菌完熟堆肥センターを活用し、「有機の里」づくりを推進しています。有機栽培を活用した農作物の生産・販売を行い、環境に優しい農業を目指しています。
いすみ市の漁業は、大原漁港を中心に岩船漁港や太東漁港が「夷隅東部漁業協同組合」を形成し、日本一のイセエビ水揚げ量を誇ります。また、タコ漁も盛んであり、地域の重要な産業となっています。
大原漁港
太東漁港
岩船漁港
いすみ市には、歴史的・文化的価値の高い名所や旧跡が数多く点在しています。これらの場所では、いすみ市の豊かな歴史や文化に触れることができます。
出雲大社上総分院(上総出雲大社)や小浜八幡神社、大原八幡神社など、地域の信仰を支える神社が多くあります。
また、清水寺(坂東三十三観音霊場32番札所)や大聖寺不動堂(国の重要文化財)は、多くの参拝者が訪れるスポットです。特に大聖寺不動堂は「波切不動」として親しまれ、サクラやアジサイの名所でもあります。
「波の伊八」の名で知られる名工による見事な欄間彫刻は、行元寺や長福寺、光福寺、飯縄寺などで見ることができます。それぞれに異なる題材が彫刻されており、芸術的な魅力に溢れています。
いすみ市は、多くの文人墨客に愛された地としても有名です。山本有三の「真実一路碑」や若山牧水の歌碑があるほか、森鷗外や竹久夢二などが滞在した痕跡が市内各所に残されています。美しい風景や素朴な人情が、文人たちを惹きつけた理由です。
八幡岬や太東岬(太東埼灯台)は、壮大な海の眺めを楽しむことができる絶景スポットです。また、鵜之島ではタイダル・アイランド現象という特異な自然現象を観察できます。
椿公園や椿の里では、2~3月が見ごろの美しい椿が楽しめます。
また、太東海浜植物群落は国の天然記念物に指定されており、貴重な植物を観察することができます。
ポッポの丘は、千葉県内の鉄道車両を展示しているユニークな施設で、新鮮な卵かけご飯が名物です。
また、千葉県いすみ環境と文化のさとでは、ホタルやトンボなど自然に触れることができます。
万木城跡公園は、戦国時代の国衆・土岐氏の居城跡で、歴史好きには見逃せないスポットです。また、童謡の里では、童謡『里の秋』や『蛙の笛』の歌碑を見学できます。
九十九里海岸にある太東海水浴場や大原海水浴場は、夏に家族連れで賑わう人気のスポットです。
木戸泉酒造は、いすみ市が誇る酒造で、伝統的な製法を守りながら個性的なお酒を作り続けています。
麻雀博物館では、麻雀に関する資料が展示されています。現在は休館中ですが、年1回開催される「岬町ふれあい麻雀大会」は200名以上を集める国内最大規模のイベントです。
オーハラライディングパークでは、自然の中で乗馬体験が楽しめます。初心者でも気軽に参加できるプログラムが充実しています。
いすみ市では年間を通じてさまざまな祭りやイベントが開催されます。
港の朝市が毎週日曜日に開催されるほか、いすみ市ふれあいコンサートや短歌大会など、地域文化に触れる機会も豊富です。
いすみ市内にはJR東日本といすみ鉄道が運行されています。大原駅は主要な乗り換え駅となっています。
太東駅、長者町駅、三門駅、大原駅、浪花駅
大原駅、西大原駅、上総東駅、新田野駅、国吉駅、上総中川駅
市内循環バス「いすみ市民バス」と「いすみシャトルバス」が運行されています。以前の民営路線は現在廃止されています。
国道128号(外房黒潮ライン)、国道465号
千葉県道82号、85号など
太平洋岸自転車道(千葉県道405号九十九里一宮大原自転車道線)
JR外房線が市内を走り、大原駅から東京駅までは特急で約1時間10分です。また、大原駅からいすみ鉄道に乗り継ぎ、内陸部への移動も可能です。
東京方面からは、東京湾アクアラインや館山自動車道を利用すると便利です。房総半島の自然を楽しみながらドライブするのもおすすめです。
いすみ市は、美しい自然、豊かな歴史、地元の味覚が楽しめる魅力的な観光地です。日帰り旅行から宿泊旅行まで、幅広い楽しみ方ができるこの地域にぜひ足を運んでみてください。
いすみ市は、自然の恵み豊かな農業・漁業をはじめ、地域文化やイベントが充実した魅力的な地域です。観光や地元の特産品を楽しみながら、心温まるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。