千葉県 » 九十九里・茂原

玉前神社

(たまさき じんじゃ)

玉前神社は、千葉県長生郡一宮町に位置する歴史ある神社です。この神社は上総国一宮であり、古くから崇敬を集めてきました。旧社格は国幣中社で、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。神社の歴史や文化財、伝統行事などが大切に継承され、地域の信仰の中心地として機能しています。

祭神

玉前神社の祭神は「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」です。伝承によれば、玉依姫命はこの地に海から上がり、豊玉姫命から託された鵜葺草葺不合命を養育しました。その後、鵜葺草葺不合命と結婚し、神武天皇(初代天皇)を含む子供たちを産んだとされています。

文献に記された祭神

文献上では、『延喜式神名帳』などにおいて祭神は一柱とされていますが、古社記には鵜茅葺不合命も併記されています。また、異説として「前玉命」や「天明玉命」とする説もあります。

歴史

概史

永禄年間(1558年-1570年)の戦火により、玉前神社の社殿や古記録は焼失しました。そのため創建年代は不明ですが、少なくとも1200年以上の歴史があるとされています。

927年に成立した『延喜式神名帳』では、上総国の名神大社として記載され、長い間、上総国一宮として多くの人々から崇敬を受けました。江戸時代には貞享4年(1687年)に現存する社殿が造営されました。

近代における社格

1871年(明治4年)の近代社格制度で国幣中社に列し、以後も1900年(明治33年)と1923年(大正12年)に社殿の改修が行われています。

神階

玉前神社はさまざまな神階を授けられてきました。貞観10年(868年)には従五位上、元慶元年(877年)には従四位上、さらに元慶8年(884年)には正四位上に昇進しています。

境内

社殿

玉前神社の社殿は、本殿・幣殿・拝殿が一体となった権現造りです。現在の社殿は江戸時代の貞享4年(1687年)に建てられたもので、千葉県の指定文化財に指定されています。

その他の境内施設

境内には、神楽殿や一の鳥居、さざれ石などが配置されており、厳かな雰囲気を醸し出しています。

摂末社

玉前神社の境内には摂末社として「招魂殿」(一宮出身の戦没者325柱を祀る)や、「十二社」(一宮町内にあった12社を合祀したもの)、三峯神社などが鎮座しています。

祭事

年間祭事

玉前神社では、四季折々の祭事が行われています。以下に代表的な祭事を示します。

1月の祭事

・歳旦祭、若水祭(1月1日) - 上総神楽の奉納

・元始祭(1月3日)

・成人祭(成人の日)

・氏子祈祷祭(1月13日)

・古神符焼納祭(1月15日)

・大寒禊(1月第4土曜)

2月の祭事

・節分厄除祭(2月3日)

・紀元祭(2月11日)

・祈年祭(2月17日)

例祭

玉前神社の例祭は毎年9月13日に行われ、「上総十二社祭り」または「上総裸祭り」として知られています。この祭りは千葉県の無形民俗文化財にも指定されており、多くの参拝者が訪れます。

上総神楽

玉前神社の上総神楽は約300年の歴史を持つ太々神楽です。かつて36座ありましたが、現在は25座が伝承されています。千葉県の無形民俗文化財に指定され、年に数度奉納されています。

文化財

重要文化財(国指定)

梅樹双雀鏡(ばいじゅそうじゃくきょう) - 昭和28年11月14日に指定され、現在は千葉県立中央博物館大多喜城分館に寄託されています。

千葉県指定文化財

有形文化財: 玉前神社社殿と棟札 - 平成8年3月22日に指定

無形民俗文化財: 玉前神社神楽 - 昭和33年4月23日に指定

無形民俗文化財: 上総十二社祭り - 平成15年3月28日に指定

一宮町指定文化財

有形文化財として、萌黄縅胴丸、松喰鶴鏡、蓬莢鏡、里見義頼寄進状などが一宮町の指定文化財に認定されています。

史跡

玉前神社の境内には、俳人・松尾芭蕉の句碑があり、平成4年1月14日に指定された史跡として大切にされています。

天然記念物

昭和62年7月14日には、玉前神社の境内に群生するイヌマキが天然記念物に指定されています。

アクセス情報

所在地: 千葉県長生郡一宮町一宮3048

交通アクセス

鉄道: JR東日本外房線「上総一ノ宮駅」から徒歩7分

: 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「茂原長南IC」からアクセス可能

周辺情報

玉前神社の近隣には観明寺があり、かつては別当寺として連携していました。観明寺内には、一宮町指定文化財に指定されている金毘羅堂があり、神社とともに訪れるのもおすすめです。

Information

名称
玉前神社
(たまさき じんじゃ)

九十九里・茂原

千葉県