祭神について
主祭神
橘樹神社の主祭神は弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)です。この神は、日本武尊の妃であり、彼の東征を支えた勇敢な人物とされています。
相殿神
橘樹神社には、弟橘比売命に加え、以下の神々が祀られています:
- 日本武尊(やまとたけるのみこと) - 弟橘比売命の夫であり、日本の古代伝説に名を連ねる英雄。
- 忍山宿禰(おしやまのすくね) - 弟橘比売命の父で、由緒ある家系の一員とされます。
歴史のあらまし
神社の起源
社伝によれば、日本武尊が東征した際、相模から上総へ向かう途中、海上で暴風に見舞われたため、妃である弟橘比売命が海に身を投じて難を逃れたとされています。この後、日本武尊は弟橘比売命の御陵を築き、橘の木を植えてその霊を祀ったと伝えられています。この故事が、橘樹神社の創建の由来となっています。
史料における記録
橘樹神社に関する最古の記録は『日本三代実録』の元慶元年(877年)で、当時「従五位勲五等」の神階が授けられています。その後、元慶8年(884年)には正五位上の神階が授与されました。また、『延喜式』神名帳にも「橘神社」として上総国の式内社に記されています。
中世から近代の歴史
中世には周辺地域に橘木荘(後の二宮荘)と呼ばれる社領を有していました。江戸時代の延宝8年(1681年)には、正一位の神階が与えられ、明治6年(1873年)には県社に列せられています。
境内の見どころ
本殿
橘樹神社の本殿は江戸時代の寛政12年(1800年)に造営されたもので、威厳ある佇まいが特徴です。また、本殿の背後には、弟橘比売命の御陵と伝えられる古墳が残されており、信仰の対象となっています。
吾妻池
境内にある吾妻池は、この古墳を築く際に掘られた穴の跡であると伝えられています。歴史を感じさせる神秘的な場所です。
手水鉢
寛延元年(1748年)に建立された手水鉢は、参拝者が心身を清める場所として、古来より大切にされてきました。
一の鳥居
境内の入り口にある一の鳥居も、神社の神聖な雰囲気を引き立てる重要な構造物です。
摂末社
橘樹神社の周囲には、秋葉神社や粟嶋神社など、数多くの末社が鎮座しており、それぞれ独自の祭神を祀っています。
秋葉神社
祭神は伊弉冉命と火産霊命で、天正年間に勧請されました。
粟嶋神社
少彦名命を祭神とし、文禄年間に勧請されました。
その他の末社
稲荷神社や子安神社、窟戸神社も境内にあり、それぞれ地域住民からの信仰を集めています。
橘樹神社の年中行事
橘樹神社では、一年を通じて多くの行事が行われ、地域の人々から親しまれています。
- 歳旦祭(1月1日)
- 元始祭(1月3日)
- 祈年祭(2月17日)
- 夏越の大祓(6月30日)
- 例祭(10月体育の日前日)
- 新嘗祭(11月23日)
- 古札焼納祭(12月31日)
文化財
千葉県指定文化財
橘木社文書(附 長谷川有則文書請取状控)が千葉県の書跡文化財として平成元年3月10日に指定されています。
茂原市指定文化財
橘樹神社の社叢は昭和55年に天然記念物として、また、本納橘神社荻生観扁額(附 荻生観自筆「琴の記」)および神代杉は平成5年に茂原市指定の書跡文化財として指定されています。
アクセスと周辺情報
橘樹神社は、JR外房線「本納駅」から徒歩約15分、圏央道茂原北インターチェンジからもアクセスできます。また、近隣には歴史的な本納城跡など、散策におすすめのスポットも点在しています。