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笠森寺

(かさもりじ)

笠森寺は、千葉県長生郡長南町笠森にある天台宗別格大本山の寺院です。本尊は十一面観世音菩薩であり、坂東三十三観音第31番札所として多くの参拝者を集めています。長い歴史と自然に囲まれたこの寺院には、特異な建築様式や貴重な文化財があり、訪れる人々に感動を与えています。

笠森寺の概要

笠森寺の起源は、784年(延暦3年)に遡ります。伝教大師・最澄が楠の霊木で十一面観世音菩薩を刻み、安置したことが始まりとされています。その後、長い歴史の中で多くの巡礼者に信仰を集め、「笠森観音」として広く知られるようになりました。

ご本尊の真言

笠森寺の本尊である十一面観世音菩薩の真言は、「おん ろけいじんばら きりく そわか」です。この真言を唱えることで、観音菩薩の加護が授かるとされています。

ご詠歌

笠森寺には美しいご詠歌も伝えられています。

「日はくるる 雨はふる野の 道すがら かかる旅路を たのむかさもり」

このご詠歌は、旅の途中で支えとなる笠森寺への信仰の深さが詠まれています。

特異な建築様式「四方懸造」の観音堂

笠森寺の最大の特徴は、国の重要文化財に指定されている観音堂です。この観音堂は、四方懸造(しほうかけづくり)と呼ばれる日本で唯一の構造を持ち、大岩の上に61本の柱で支えられています。1028年(長元元年)に後一条天皇の勅願で建立されたと伝えられていますが、現在の建物は1579年(天正7年)から1597年(慶長2年)の間に再建されたものです。

四方懸造の観音堂の見どころ

観音堂には、75段の階段を上がると美しい回廊が広がり、そこから眺める四季折々の房総の山々の景観は素晴らしく、訪れる人々を魅了します。春には桜、秋には紅葉が彩り、四季それぞれの自然美が楽しめます。

笠森寺の文化財

笠森寺には、重要文化財や天然記念物に指定された文化財が多く残されています。

重要文化財

天然記念物「笠森寺自然林」

笠森寺周辺の森林は、「笠森寺自然林」として1970年に国の天然記念物に指定されています。延暦年間の笠森寺創建当初から禁伐林として保護されてきた自然豊かな暖帯林で、関東地方に残る貴重な自然環境です。

笠森寺自然林の生態系

高木層はスダジイを主体とし、イチイガシやアカガシが混在するほか、低木層にはサカキやヒサカキなどが繁茂しています。この豊かな植生は、シダ植物の群落も多く見られ、コバノカナワラビやホソバカナワラビなどが生息しています。

また、自然林にはニホンイタチ、ニホンアナグマ、ニホンリスなどの動物や、フクロウ、コノハズク、アカゲラといった鳥類が生息しています。昆虫ではヒメハルゼミが見られ、自然環境がよく保たれた関東地方の森林として注目されています。

交通アクセス

笠森寺へのアクセスは、公共交通機関や車を利用する方法があります。

鉄道

自動車

拝観料と拝観時間

笠森寺の拝観には拝観料が必要です。また、季節に応じて拝観時間が異なるためご注意ください。

坂東三十三観音と笠森寺

笠森寺は、坂東三十三観音霊場の第31番札所として巡礼の一環で訪れる方が多いです。霊場巡りの前後に立ち寄れる札所もご紹介します。

まとめ

千葉県長南町に位置する笠森寺は、長い歴史と豊かな自然、そして独自の建築様式が融合した魅力的な観光地です。四方懸造の観音堂や、豊かな自然林、貴重な文化財の数々は訪れる人々を感動させます。また、坂東三十三観音の巡礼地としての役割も持ち、巡礼者や観光客で賑わいます。ぜひ足を運び、笠森寺で静かなひとときをお過ごしください。

Information

名称
笠森寺
(かさもりじ)

九十九里・茂原

千葉県