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長柄ダム(千葉県)

(ながら)

長柄ダムは、千葉県長生郡長柄町山之郷に位置するアースダムで、房総半島への水供給を支える重要な役割を果たしています。このダムは、利根川の水を千葉県の多くの地域へ送水するための調整池として活用され、近隣の自治体に水道水や工業用水を提供しています。

長柄ダムの概要

長柄ダムは、千葉県長柄町にある栗山川の支流に建設され、房総導水路と東金市にある東金ダムと共に、利根川から取り込んだ水を千葉県内の各地域へ供給する調整池の役割を担っています。このダムは特に長生郡市だけでなく、松戸市などの江戸川東岸や、千葉市など東京湾岸の地域にも上水道や工業用水を供給し、地域の産業と生活を支えるライフラインとして機能しています。

ダムの規模と構造

長柄ダムは、独立行政法人水資源機構が管理する高さ52.0メートルのアースダムです。日本国内ではアースダムとして高さが第4位、関東地方では最も高いダムとして知られています。このように日本有数の規模を誇るダムは、周辺地域にとって非常に重要な水供給インフラです。

ダム湖とその名称

長柄ダムによって形成されたダム湖は「市津湖(しづこ)」と名付けられ、長柄町と市原市旧市津町(現在の市原市)との境界に位置しています。市津湖は地域住民や観光客に親しまれており、美しい自然環境の中でさまざまなレジャーが楽しめるスポットとしても人気です。

香川県の同名ダム

なお、同じ「長柄ダム」という名称のダムが香川県綾歌郡綾川町にも存在していますが、千葉県の長柄ダムとは異なるため、混同しないよう注意が必要です。

長柄ダムの沿革

長柄ダムは房総導水路計画の一環として建設され、長い年月をかけて完成しました。以下に、主な工事の経緯と完成までの流れを示します。

1970年 - 水資源開発基本計画変更

1970年(昭和45年)には、房総半島の水供給を強化するため、房総導水路が水資源開発基本計画に盛り込まれ、長柄ダムの建設が計画されました。

1971年 - 横芝と長柄ダム間の着工

1971年(昭和46年)に、利根川の水を長柄ダムに導水するための区間である横芝 - 長柄ダム間の工事が着工され、以降、長柄ダムとその導水路の建設が進められました。

1973年 - 長柄ダムの着工

1973年(昭和48年)には長柄ダム本体の建設が開始されました。このダムの建設は、関東地方における水資源供給の安定を目指した大規模プロジェクトの一環でした。

1980年 - 横芝から長柄ダム間が完成、暫定通水開始

1980年(昭和55年)には横芝 - 長柄ダム間が完成し、長生郡市への上水供給が暫定的に開始されました。この通水により、周辺地域の住民が安定した水供給を受けることができるようになりました。

1986年 - 千葉臨海工業地帯への工業用水供給開始

1986年(昭和61年)には、千葉臨海工業地帯に対する工業用水の供給が開始され、千葉県の産業活動を支える重要な水源としての役割が本格化しました。

1991年 - 長柄ダムから大多喜間(南房総導水路)の着工

1991年(平成3年)には、南房総導水路計画の一部として、長柄ダムから大多喜までの区間が着工され、さらなる水供給エリアの拡大が図られました。

1994年 - 長柄ダムの完成

1994年(平成6年)、長柄ダムが正式に完成し、千葉県の多くの地域に安定した水供給が行われるようになりました。

1996年 - 南房総への上水供給開始

1996年(平成8年)には、南房総地域への上水供給が暫定的に開始され、房総半島全体にわたる水供給ネットワークが整備されました。

1997年 - 南房総導水路の完成

1997年(平成9年)、長柄ダムと大多喜を結ぶ南房総導水路が完成し、千葉県内の幅広い地域に水供給を行うネットワークが確立しました。

周辺施設や観光スポット

長柄ダム周辺には、美しい自然環境とともに、訪れる人々が楽しめる施設や観光スポットが点在しています。

市津湖周辺のレクリエーション

市津湖では、周囲の豊かな自然を活かして釣りやバードウォッチングが楽しめるほか、湖畔の遊歩道を散策することができます。四季折々の風景が楽しめるため、地元住民や観光客にとって憩いの場として親しまれています。

長柄町の観光名所

長柄ダムのある長柄町には、自然豊かな観光スポットが数多く存在します。近隣にはリゾート施設の「リソル生命の森」があり、スポーツや温泉施設、レストランなどが充実しています。また、「ターザニア」と呼ばれるアドベンチャー施設では、自然を感じながらアクティビティを楽しむことができます。

アクセス情報

公共交通機関でのアクセス

長柄ダムへのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、JR外房線の誉田駅からバスを利用するのが便利です。誉田駅からは、長柄町内を巡回するバスが運行されており、長柄ダムや周辺の観光スポットに訪れることができます。

車でのアクセス

自家用車を利用する場合は、千葉外房有料道路の桂インターチェンジから約20分、または圏央道の茂原北インターチェンジから約25分でアクセスできます。ダム周辺には無料駐車場も完備されており、気軽に訪れることが可能です。

まとめ

長柄ダムは、房総半島への水供給を支える重要なインフラであり、地域の産業や生活に不可欠な役割を果たしています。また、周囲の自然環境や観光施設も充実しているため、訪れる人々にとっても楽しめるスポットです。長柄ダム周辺では、美しい自然の風景や多彩なレジャーが楽しめるため、家族連れやカップルにとってもおすすめの観光地と言えるでしょう。

Information

名称
長柄ダム(千葉県)
(ながら)

九十九里・茂原

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