神社の概要
五所神社は千葉県山武市にあり、長い歴史の中で地域の人々の信仰を支えてきました。その成り立ちと祭神について、以下で詳しく説明します。
祭神と由来
五所神社では、天照大神(あまてらすおおみかみ)を主祭神とし、誉田別尊(ほんだわけのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、表筒男命(うわつつのおのみこと)、素登織姫命(そとおりひめのみこと)の5柱の神々を祀っています。これらの神々が御神体として祀られ、地域の守護神として崇められています。
五所神社の歴史
五所神社は、承安元年(1171年)に創建されたと伝えられており、数百年にわたる歴史を持つ神社です。その歴史の中で、源頼朝とのゆかりや再建の記録などが残されています。
源頼朝との関わり
治承4年(1180年)、石橋山の戦いで敗北した源頼朝が一時この地に滞在し、武運長久と国土安泰を祈願したといわれています。この出来事により、五所神社は頼朝にゆかりのある神社としても知られています。
社殿の再建と文化財指定
五所神社の社殿は、天正年間(1573年~1592年)に一度造営され、のちに台風で倒壊したため、正徳元年(1711年)に再建されました。この現在の本殿は、桃山時代の様式を残す建造物で、千葉県の有形文化財に指定されています。唐破風や千鳥破風、入母屋造といった特徴が見られ、平面的な彫刻も多く配されており、その美しい建築様式は他に類を見ないものです。
社格と改称
享保2年(1717年)には、神祇官より正一位の神階が授与され、明治5年(1872年)には「五所大権現」から「五所神社」に改称されました。さらに、大正11年(1922年)には郷社に列格され、地域の神社としての格が一層高まりました。
五所神社の行事
五所神社では、毎年多くの行事が行われ、特に2月の「十二面神楽」は名物として有名です。
十二面神楽
毎年2月の第3日曜日には、「十二面神楽」と呼ばれる神楽が奉納されます。この神楽は、延享3年(1746年)に佐倉藩主だった堀田正亮が、祖先の堀田正盛が佐倉に戻ることが許されたことを祝して奉納されたのが始まりとされています。近隣の神官たちが、堀田氏の武運長久や氏子の安全を祈願し、神楽を奉納したことが伝統となり、現在も続けられています。
風邪を防ぐという言い伝え
十二面神楽には、その際に吹く風に当たると風邪をひかないという言い伝えがあり、多くの人が参拝し、無病息災を祈っています。この伝統的な神楽は、地域の文化としても価値が高く、訪れる人々を魅了しています。
神社の見どころ
五所神社は、歴史的な建築や自然豊かな環境が見どころです。また、近隣には関連の神社もあり、合わせて訪れることで、より深く地域の歴史を知ることができます。
本殿の見事な建築様式
五所神社の本殿は、前述の通り桃山時代の様式を残した美しい建築で、唐破風や千鳥破風が特徴です。また、屋根の栩葺きや、細やかな彫刻など、建築好きにはたまらない美しい装飾が施されています。平面的な彫刻の数々は他では見られない独特の魅力があり、訪れる人々の目を引きます。
九十九里浜の箭挿神社
五所神社が管理する「箭挿(やさし)神社」は、九十九里浜の中央に位置しており、五所神社の境外末社として信仰されています。箭挿神社は小さな祠ですが、九十九里浜に面しており、その風景も魅力のひとつです。
近隣の神社との関係
五所神社の北東には、約2キロメートルの位置に四社神社があり、南西には約3キロメートル離れた場所に大宮神社があります。これらの神社は五所神社とともに地域の信仰を支えており、歴史的な繋がりがあります。五所神社と合わせて訪れることで、山武市周辺の歴史と文化を深く感じることができるでしょう。
アクセス情報
五所神社へは、公共交通機関を利用して訪れることが可能です。JR東日本の総武本線「横芝駅」から、千葉交通バスの蓮沼循環バスに乗り、「五所神社」停留所で下車すると便利です。
まとめ
千葉県山武市の五所神社は、歴史や文化、自然の美しさが融合した魅力的な神社です。源頼朝とのゆかり、桃山時代の建築様式を残す本殿、十二面神楽など、見どころや体験できる行事が豊富で、地域の信仰を今に伝えています。また、周辺には関連する神社が点在しており、巡礼することでより一層地域の歴史に触れることができるでしょう。五所神社を訪れ、山武市の魅力を体感してみてください。