概要
洲崎神社は、千葉県館山市洲崎の御手洗山の中腹に鎮座し、海岸沿いの雄大な景観が広がる神社です。江戸時代には、安房国の一宮として地域社会や海上交通の中心的役割を果たしていました。
主要な施設
- 大鳥居: 浜鳥居とも呼ばれ、海岸に面した象徴的な鳥居です。
- 本殿: 館山市指定文化財である三間社流造の建物。
- 随身門: 宝永年間に建てられた門で、階段を登ると社殿へと続きます。
- 神石: 竜宮から奉納されたと伝わる石。
祭神
祭神は天比理乃咩命(あまのひりのめのみこと)で、安房神社の祭神である天太玉命の后神とされています。その名は「洲ノ神」とも呼ばれ、地域の守護神として崇められています。
祭神名の表記
祭神名の表記には文献ごとに異同があります。以下が主な例です。
- 『延喜式』神名帳では「天比理乃咩命」と記載されています。
- 『続日本後紀』などでは「天比理刀咩命」とされています。
歴史
創建
洲崎神社の起源は『古語拾遺』(807年)に記された、天富命が祖母神である天比理乃咩命の鏡を祀ったことに由来します。また、修験道の開祖である役小角にまつわる伝承もあり、海上安全を祈願する重要な場であったことが伺えます。
中世
延長5年(927年)の『延喜式』神名帳においては安房国の大社に列格されています。また、源頼朝が安房国に逃れた際には、洲崎神社を訪れて神領を寄進したとされています。
江戸時代
江戸時代には房総沿岸の一宮として、地域や海上交通の信仰の中心でした。また、文化9年(1812年)には松平定信が「安房国一宮 洲崎大明神」の扁額を奉納しました。
明治以後
明治6年(1873年)には近代社格制度において県社に列格しました。また、昭和47年(1972年)には御手洗山が「洲崎神社自然林」として千葉県の天然記念物に指定されています。
祭事と文化財
祭事
- 2月初午: 洲崎踊りが奉納されます。
- 例大祭: 8月20日・21日に行われ、神輿渡御や洲崎踊りが見られます。
文化財
千葉県指定文化財
- 洲崎のミノコオドリ: 弥勒踊りと鹿島踊りの2種類。
- 洲崎神社自然林: 御手洗山に残る自然林。
館山市指定文化財
- 洲崎神社本殿: 江戸時代中期の建築。
- 神体髪: 祭神の遺髪とされるもの。
分社
洲崎神社の分社は全国に広がっています。その中には、東京都品川区の品川神社や海底神社などがあります。
所在地
千葉県館山市洲崎1697にあります。公共交通機関では、JR内房線館山駅からJRバス洲崎線に乗車し、「洲崎神社」バス停で下車するのが便利です。
周辺情報
- 矢尻の井戸: 源頼朝上陸伝承地の一つ。
- 洲埼灯台: 東京湾を見渡す絶景スポット。
洲崎神社は歴史や文化、自然が調和した魅力的な場所です。訪れる際には、周辺観光地も合わせて楽しむのがおすすめです。