那古寺の概要
本尊は千手観世音菩薩で、そのご真言は「おん ばざら たらま きりく そわか」と唱えられます。 ご詠歌は以下の通りです:
補陀落はよそにはあらじ那古の寺
岸うつ浪を見るにつけても
那古寺の歴史
起源と創建
寺伝によれば、奈良時代の僧行基が元正天皇の病気平癒を祈るためにこの地を訪れ、千手観世音菩薩を安置して祈願しました。 その結果、天皇の病は平癒し、天皇の勅命によって寺が建てられたとされています。
信仰の歴史
源頼朝や関東公方足利氏、里見氏などの武家からも信仰を集め、徳川家康の時代には300石を領する大寺となりました。 江戸時代には、寺勢がさらに伸張し、地元や参詣者からの篤い信仰が寄せられました。
那古寺の伽藍
仁王門
参道の入り口に立つ仁王門は、寺の守護として金剛力士像が安置されています。現在の建物は昭和36年の再建ですが、 古くからの建築記録が残されています。
観音堂(本堂)
那古寺の本堂である観音堂は、平成の大改修を経て、2010年に落慶法要が行われました。江戸時代中期に再建された建物で、 内部には千手観世音菩薩像を中心に、不動明王像と地蔵菩薩像が安置されています。
多宝塔
江戸時代中期の宝暦11年(1761年)に建立された多宝塔は、千葉県内では希少な建築技法の例とされています。 多宝如来と釈迦如来が安置されており、歴史的価値が高い文化財です。
文化財と貴重な遺産
国指定重要文化財
- 銅造千手観音立像(鎌倉時代)
千葉県指定有形文化財
- 那古寺多宝塔
- 那古寺観音堂(附:厨子)
- 絹本著色僧形八幡神像
- 木造阿弥陀如来坐像
- 繍字法華経普門品
交通アクセス
鉄道
内房線(JR東日本)那古船形駅から徒歩12分(約1km)
自動車
富津館山道路 富浦ICから約10分(約3km)