概要
かつては四方を海に囲まれた完全な無人島でしたが、1923年(大正12年)の関東大震災で地盤が隆起し、陸地とつながるようになりました。地震の影響で潮流が変化し、砂が堆積したことで島が陸繋島となりました。
沖ノ島の周囲には約2000万年前に形成された堆積岩や地層が露出しており、地球の歴史を感じることができます。また、周辺の海域にはサンゴが生息しており、「サンゴの北限域」としても有名です。
自然環境
沖ノ島には、南方の温暖な気候で育つ植物や動物が数多く見られます。ヤブニッケイやタブノキなどの照葉樹林をはじめ、ソテツやシュロ、カイコウズなどが自生しています。
また、黒潮の影響を受けてソラスズメダイやクマノミなどの熱帯魚が見られるほか、キクメイシやエダミドリイシなどのサンゴも生息しています。これらの生態系は、島を訪れる多くの観光客を魅了しています。
沖ノ島公園
沖ノ島全体は、自然環境区域として南房総国定公園の一部に指定されており、敷地は財務省から館山市に無償貸与されています。
見どころ
島内には「沖ノ島宇賀大明神社」があり、歴史と自然を感じることができます。また、無人灯台や戦時中の遺構である地下壕も点在しています。
沖ノ島宇賀大明神社
沖ノ島宇賀大明神社は1096年(嘉保3年)に創建された歴史ある神社で、御祭神は倉稲魂命(うかのみたまのみこと)です。神社の境内には樹齢300年を超えるタブノキがそびえ、神秘的な雰囲気を醸し出しています。
沖ノ島海水浴場
沖ノ島に隣接する砂浜は、海水浴場としても人気があります。環境省が実施する水質調査で毎年「Aランク」以上に認定されており、透明度の高い海を楽しめます。
アクティビティ
北側の入り江では素潜りやシュノーケリングでサンゴや魚を観察することができ、ビーチコーミングも楽しめます。一方、島の裏側に位置する「裏の浜」では潮流が速いため遊泳には不向きですが、磯遊びには適しています。
施設
- ビーチ:長さ約150メートル、奥行き約50メートル
- 仮設トイレ:2箇所
- 海の家:あり
2017年からは環境保全のため、訪問者に「沖ノ島環境保全協力金」への協力が呼びかけられています。
令和元年房総半島台風による被害
2019年9月に発生した台風15号により、沖ノ島は大きな被害を受けました。島内の多くの樹木が倒れ、宇賀大明神社の神木や鳥居も倒壊しました。この被害により島は一時的に立ち入り禁止となり、南房総地域の観光業にも大きな影響を与えました。
復旧作業は館山市の市街地優先の事情から遅れが生じましたが、NPO法人や地元住民による清掃活動や寄付金の支援により、徐々に再生が進められています。復旧には長い時間が必要とされています。
アクセス情報
公共交通機関
- 館山駅(JR内房線)東口から、館山日東バス「館山航空隊行」終点下車、徒歩約25分
- JRバス関東「洲崎方面行」乗車、「宮城」下車、徒歩約30分
- 館山駅でレンタサイクルの利用が可能
自動車
富浦インターチェンジ(富津館山道路)から約11キロメートル、無料駐車場(約500台)を利用可能です。