概要
野島埼灯台は、太平洋を望む景勝地に立つ航路標識で、国際標識番号や航路標識番号が付与されています。周辺には自然豊かな環境や観光施設が整備されており、歴史的建造物としても価値が高い灯台です。
歴史
江戸条約と灯台建設の始まり
1866年(慶応2年)にアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4ヶ国との「改税条約」(江戸条約)によって建設が約束された8ヶ所の灯台の一つとして、野島埼灯台は誕生しました。このような条約灯台は、当時の国際的な海運の安全確保において重要な役割を担いました。
初点灯とフランス技術の採用
1870年(明治2年)1月22日、観音埼灯台に次いで日本の洋式灯台として2番目に点灯しました。設計を担当したフランス人技師F・L・ヴェルニーの指導により、当初は白色八角形の煉瓦造で建設され、高さ30メートルの灯塔にはフランス製の第1等フレネル式レンズが使用されました。
関東大震災と復旧
1923年(大正12年)の関東大震災で灯台は地上6メートルの地点で崩壊しました。その後、仮設灯台を経て、1925年(大正14年)に現在の白色コンクリート造の八角形灯台が再建されました。
戦後の復興と設備の変遷
太平洋戦争で大きな被害を受けた灯台は、戦後に復旧され、その後も無線方位信号所や船舶気象通報といった設備が整備されました。しかし、2006年以降はこれらの施設が廃止され、現在は観光施設としての役割を担っています。
付属施設
野島埼灯台資料展示室(きらりん館)
野島埼灯台には「きらりん館」と呼ばれる資料展示室が併設されています。ここでは、灯台の歴史や機能、役割について学ぶことができます。展示には、過去に使用された第2等フレネル式レンズなど貴重な資料が含まれています。
屋外展示物
灯台周辺には霧信号ラッパや浮標電磁ホーンなどが屋外展示されており、訪れる人々が灯台の技術史に触れることができます。
一般公開
野島埼灯台は内部見学が可能な参観灯台で、大人300円の参観料で入場できます(2021年11月14日現在)。また、灯台記念日である11月1日には無料で公開され、多くの観光客が訪れます。
灯台からの眺望
灯台からは雄大な太平洋のパノラマを楽しむことができます。東京湾に向かう大型船の列や、白浜温泉リゾート、白浜野島崎園地など周辺の景色が一望できるのも魅力です。
アクセス
公共交通機関
JR内房線「館山駅」から安房白浜行きのバスを利用し、「野島埼灯台入口」または「野島埼灯台口」で下車するのが便利です。また、東京駅から直通バス「房総なのはな号」も運行しています。
自動車
東京湾アクアラインや館山自動車道「富浦インターチェンジ」を利用し、一般道路では国道410号や房総フラワーラインを経由します。無料駐車場が利用可能です。
周辺施設
道の駅「白浜野島崎」や白浜温泉、白浜海岸などの観光スポットが点在しています。また、厳島神社や白浜海洋美術館も訪れる価値があります。
まとめ
野島埼灯台は、歴史的価値と自然の美しさを兼ね備えた観光名所です。訪れることで、日本の航海の歴史や壮大な景色を堪能できるでしょう。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。