歴史
山号と院号の由来
選擇寺は観誉祐崇上人によって、享徳3年(1454年)に創建されました。その正式名称は「鶏頭山西休院選擇寺」です。
上人がこの地で休息を取った草庵が「西休院」と呼ばれていたことや、鶏が松の木の枝にとまる姿が中国の修行道場「鶏頭摩寺」を思い起こさせたことにちなみ、この名称が付けられました。
祐崇上人の高僧としての歩み
観誉祐崇上人は、後に鎌倉の大本山光明寺の第九代法燈を継承しました。また、後土御門天皇に招かれ、浄土の教えを宮中で講じるなど、その教えは広く知られています。
「選擇」の意味
「選擇」とは、法然上人が唱えた「選び取ることの大切さ」を表しています。人生の中で重要な選択をする際の姿勢を象徴するとともに、多くの仏教教義の中から浄土の教えを選び取る意義を示しています。
浄土宗とその教え
選擇寺は浄土宗に属します。この宗派は鎌倉時代、法然上人によって承安5年(1175年)に開かれました。
「南無阿弥陀佛」と念仏を唱えることで、苦しみを和らげ、浄土への道を開く教えを信徒に伝えています。
文化財
本堂
現在の本堂は昭和5年(1930年)に建てられ、鉄筋コンクリート造の建物です。伝統的な木造建築の仏堂形態を正確に再現しており、その独特な建築様式が評価され、平成12年に国の登録有形文化財に指定されました。
ご本尊は、平安時代後期に慈覚大師円仁によって作られた阿弥陀立像です。この像は年に一度、お十夜法要の際に拝むことができます。
蝙蝠安の墓
境内には、歌舞伎『与話情浮名横櫛』で知られる切られ与三郎の相棒「蝙蝠安」のモデルとなった山口瀧蔵の墓があります。地元ではこの墓を訪れる人も多く、その歴史や伝説に興味を持つ人々に親しまれています。
行事とイベント
おえんま様ご縁日
毎年8月16日に開催される「おえんま様ご縁日」は、江戸時代から続く伝統行事です。この日は地獄の休日ともされ、亡者が安らぎを得る日として知られています。境内には夜店が並び、木更津の夏の風物詩として賑わいます。
罪障消除や家内安全の祈願を行い、御祈願のお申し込みも受け付けています。
歌舞伎とのつながり
『与話情浮名横櫛』と木更津
歌舞伎の名作『与話情浮名横櫛』の舞台にもなった木更津。物語の背景には地元にまつわる伝説があり、選擇寺が登場人物に関連する史跡として登場します。蝙蝠安の墓を訪れることで、物語の一端を感じることができます。
アクセス情報
所在地: 千葉県木更津市中央1-5-6
交通アクセス
選擇寺は木更津駅から徒歩圏内にあり、気軽に訪れることができます。