高蔵寺の由緒
高蔵寺は、用明天皇の代(585年~587年)に、徳義上人が観音菩薩の像を感得し、この地に建立したと言われています。本尊の観音像は、後に行基が刻んだ大像の中に納められたと伝わります。
藤原鎌足伝説
この寺には藤原鎌足(614年~669年)生誕にまつわる伝説が残されています。矢納郷の有力者であった猪野長官は、40歳を過ぎても子宝に恵まれず、高蔵寺の観音に祈願したところ、一女を授かりました。その娘・予与観は成長後、自身の良縁を求めて観音に再び祈願し、夢のお告げに従って鹿嶋で日天を拝み男子を授かったといわれます。この男子が後の藤原鎌足です。
鎌足と高蔵寺の関わり
鎌足は観音を深く崇拝し、本堂や阿弥陀堂、三重塔、鐘楼などを建立しました。また、境内には鎌足ゆかりの「腰掛石」や「鎌足桜」と呼ばれる霊木があります。
本尊とご詠歌
本尊真言:おん あろりきゃ そわか
ご詠歌:はるばると登りて拝む高倉や 富士にうつろう阿娑婆なるらん
本堂と文化財
本堂の特徴
現在の本堂は1526年(大永6年)に再建され、全国的にも珍しい重層入母屋造りの高床式建築です。木更津市の指定文化財となっており、その高床下からは本尊や地獄界・極楽界を表現した展示物を拝観できます。
市指定文化財
- 本堂
- 山門
- 鐘楼
観音浄土巡り
高倉観音の本堂では、秘仏であった本尊の前身像を拝観できるほか、地獄界と極楽界を擬似体験できる展示「観音浄土巡り」が楽しめます。これは仏教の教えを視覚的に学べる展示として多くの参拝者に親しまれています。
霊木と伝説
鎌足杉と夫婦杉
境内には、藤原鎌足にちなむ「鎌足杉」や、夫婦和合の象徴として親しまれた「夫婦杉」がありましたが、昭和57年の台風で大部分が損傷しました。その跡地には、水子や子育て地蔵尊が祀られています。
霊木の種類とご利益
- 方位除け:鎌足杉
- 夫婦円満・子授け:聖天様
- 子孫繁栄:柘榴
- 水子供養:地蔵尊
楽しめるスポットと体験
かわらけ投げ
「かわらけ投げ」は、土器の盃に願いを込めて円形の的に投げる伝統的な儀式で、厄除けや良縁祈願に用いられます。かわらけを円に通すことで、願いが叶うとされています。
胎内くぐり「福わ内」
「胎内くぐり」は、直径76cmの輪を通り抜けることで諸願成就を祈願する体験です。輪の中には「福を招く」とされる2羽のふくろうがデザインされています。
健康ロード
外周部には健康増進を目的とした「健康ロード」があり、素足での散策が推奨されています。
アクセス情報
高蔵寺は千葉県木更津市矢那1245にあります。坂東三十三観音巡りの札所としても知られ、前後の札所には29番札所の千葉寺と31番札所の笠森寺があります。