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太田山公園

(おおだやま こうえん)

千葉県木更津市にある太田山公園は、市民の憩いの場として愛される緑豊かな公園です。標高44メートルの太田山を中心に広がる公園で、山頂からの美しい眺望や歴史的な施設が特徴で、多くの観光客を惹きつけています。

公園は日本武尊(ヤマトタケルノミコト)と弟橘媛(オトタチバナヒメ)の悲恋伝説にちなみ、「恋の森」とも呼ばれています。 公園の面積は9.7万平方メートルで、四季折々の風景を楽しむことができます。春には約400本の桜が咲き誇り、市内随一の花見の名所として多くの人々が訪れます。

山頂には剣の形を模した「きみさらずタワー」がそびえ、市内や東京湾を一望する絶景ポイントとして人気です。また、太田山には古墳が存在したという伝承もあり、歴史的な趣も感じられます。

山頂のシンボル「きみさらずタワー」

太田山公園の山頂には、高さ28mの「きみさらずタワー」がそびえています。
剣の形を模したこのタワーの展望台からは、木更津市内はもちろん、東京湾を隔てた横浜、新宿副都心、さらには富士山まで一望できます。

夜にはタワーがライトアップされ、ロマンチックな雰囲気が漂うため、カップルに特に人気の夜景スポットです。

このタワーは、「君不去(きみさらず)」伝説に基づき建設されました。伝説によれば、日本武尊が海に身を投じて嵐を鎮めた妃・弟橘媛を偲び、この地を離れることができなかったという物語がこの地名の由来とされています。

歴史的建造物と文化財

太田山公園には旧安西家住宅のほか、木更津市郷土博物館「金のすず」、橘神社、忠霊塔、歌碑などの歴史的・文化的な施設があります。 特に「金のすず」では、金鈴塚古墳からの出土品を展示しており、歴史に触れる貴重な体験ができます。

木更津市郷土博物館 金のすず

公園内には木更津市郷土博物館 金のすずがあります。「金のすず」は、かつて千葉県立上総博物館として運営されていた施設を引き継いだ郷土博物館です。「くらしの中の技術」をテーマに、上総掘りの道具や地域の歴史に関する展示を行っています。特に、金鈴塚古墳から出土した重要文化財の展示が見どころです。

旧安西家住宅

江戸時代中期に建てられた農家「安西家」の住宅を移築したものです。
その茅葺き屋根と特徴的な構造は、上総地方の伝統建築の様式を今に伝えています。

江戸時代中期に建てられた旧安西家住宅は、上総地方最大規模の民家として知られています。この住宅は寄棟造りの茅葺き屋根が特徴で、建築当初の「分棟型」から「直屋型」へと改造された経緯があります。1981年には木更津市指定文化財に登録されており、地域の建築史を知るうえで重要な資料です。

橘神社

弟橘媛を祀る橘神社は、縁結びの神社として知られています。
また、金鈴まつりの際にはここで「修祓式」が行われます。

公園内には、弟橘媛を祀る橘神社があります。縁結びのご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。また、毎年行われる「金鈴まつり」では、この神社で修祓式が行われ、祭りが始まります。

レクリエーション施設とモニュメント

公園内にはフィールドアスレチックや遊歩道が整備されており、自然を楽しみながら散策することができます。
また、「忠霊塔」や細井魚袋、小山義雄の歌碑など、歴史や文化に触れることのできるモニュメントが点在しています。

忠霊塔

1954年に建立された忠霊塔は、戦没者を慰霊するために建てられました。

歌碑

園内には二つの歌碑があります。一つは1957年に建立された細井魚袋の歌碑で、彼は木更津市出身の歌人です。もう一つは1990年に建てられた小山義雄の歌碑で、彼は木更津市教育長を歴任し、後に市名誉市民となった人物です。

春を彩る桜と「金鈴まつり」

太田山公園は「恋の森」とも呼ばれ、春には桜が咲き誇る花見の名所となります。地元の人々だけでなく多くの観光客が訪れる憩いの場です。

太田山公園の春は桜が見どころです。
ソメイヨシノやシダレザクラなど、約400本の桜が園内を薄桃色に染めます。
桜祭りを兼ねた金鈴まつりでは、舞台での芸能ショーなども行われ、地元の人々や観光客で賑わいます。

夜桜がライトアップされる幻想的な景色も人気で、写真愛好家にもおすすめのスポットです。

見どころ

桜の名所

太田山公園は春になると桜の花が満開となり、薄桃色に染まった山頂は多くの花見客でにぎわいます。公園全体が華やかな景色に包まれ、訪れる人々に季節の彩りを提供します。

歴史的背景

太田山公園の歴史は古く、君不去伝説に基づいて木更津という地名がつけられたことに始まります。第二次世界大戦中には、この地に高射砲陣地やトンネル、地下壕が設けられるなど軍事的に重要な役割も担いました。戦後、地域の人々の手により、1953年に金鈴まつりが始まりました。1978年には都市公園として整備が完了し、現在の形になりました。

伝説と地名の由来

太田山には、「君不去(きみさらず)」伝説が伝わっています。日本武尊が弟橘媛を偲び、長くこの地を去らなかったことが地名の由来となり、 後に「木更津」として変化しました。

旧安西家住宅

太田山公園内にある茅葺きの「旧安西家住宅」は、江戸時代中期に建てられた貴重な民家です。この住宅は、昭和56年(1981年)に木更津市の文化財に指定され、 昭和57年(1982年)に現在の公園内に移築・復元されました。

建築の歴史と特徴

旧安西家住宅は、江戸時代中期(18世紀初め)に建築されたと推定される、上総地方最大級の民家です。 初期は「分棟型」と呼ばれる形式で、居住部分と土間が別々の棟で構成されていましたが、19世紀に現在の「直屋型」に改造されました。 建物の構造は、間口13間(約23.4メートル)、奥行き5間(約9メートル)の平入り寄棟造りで、茅葺き屋根が特徴的です。

間取りの詳細

居室部分と土間のエリアに分かれており、居室部分には4畳の「げんかん」、8畳の「なかのま」、床の間付き6畳の「おくのま」、 さらに24畳の「ひろま」や仏間、8畳の「なんど」などが配置されています。土間には台所や下男部屋があり、生活空間としての工夫が随所に見られます。

安西家の歴史

安西家は鎌倉時代に源頼朝に仕えた家系で、江戸時代には名主や組頭など地域の要職を代々務めた名家です。この住宅は、 当時の生活文化や建築様式を知る上で非常に貴重な資料となっています。

太田山公園へのアクセス

太田山公園は、JR内房線・久留里線木更津駅東口から徒歩約15分の場所にあります。
また、日東交通バス「太田循環」を利用し、「恋の森」バス停で下車後徒歩5分でもアクセス可能です。
車で訪れる場合は、県道23号沿いにある駐車場(68台分、無料)を利用できます。

まとめ

太田山公園は、自然、歴史、文化を一度に楽しむことができる木更津市の代表的な観光スポットです。
「恋の森」としてロマンチックな雰囲気も漂い、恋人たちや家族連れ、観光客にとって魅力的な場所です。
季節ごとに異なる表情を見せるこの公園を、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
太田山公園
(おおだやま こうえん)

木更津・君津

千葉県