泉質と源泉の特徴
犬吠埼温泉には、特色ある3つの源泉が存在し、それぞれ異なる泉質と効能を持っています。
潮の湯温泉
日本温泉協会に認定されている源泉であり、泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉。湧出量は毎分470リットルと豊富です。温泉としての評価も高く、さまざまな宿泊施設で利用されています。
黒潮の湯
泉質はナトリウム塩化物強塩泉で、源泉温度は27℃、湧出量は毎分300リットル。塩分を多く含み、体を芯から温める効果があるとされています。
屏風ヶ浦温泉
ナトリウム塩化物冷鉱泉(低張性・弱アルカリ性)で、湧出量は毎分160リットル。掘削による動力揚湯で供給されています。所在地は銚子市三崎町三丁目52番地です。
期待される効能
犬吠埼温泉に含まれる成分は、次のような症状に効果があるとされています。
- 神経痛
- 筋肉痛
- 慢性消化器病
- 冷え性
- 疲労回復
※効能はその効果を万人に保証するものではありません。
温泉街の様子と宿泊施設
温泉宿の特色
犬吠埼温泉には複数の旅館やホテルが存在し、その中でも6軒の宿泊施設が温泉を引いています。これらの宿は、太平洋に面した絶好のロケーションを生かし、露天風呂や日の出の景観が楽しめることが大きな魅力です。中には足湯を整備している宿もあり、気軽に温泉の雰囲気を楽しむことができます。
温泉が引かれている主な宿泊施設
- ホテル&スパ月美 太陽の里(別邸 海と森)
- 絶景の宿 犬吠埼ホテル(黒潮の湯源泉)
- 犬吠埼観光ホテル(潮の湯温泉源泉)
- ホテルニュー大新
- ぎょうけい館
温泉地としての歩み
犬吠埼一帯はもともと観光名所や保養地として古くから人気を集めていましたが、長らく温泉は湧出していませんでした。その転機となったのは、1996年(平成8年)に「犬吠埼観光ホテル」が行った温泉開発です。1,066メートルのボーリングによって潮の湯温泉が開湯され、犬吠埼に初めて本格的な温泉が誕生しました。
さらに、2000年(平成12年)には「絶景の宿 犬吠埼ホテル」が1,300メートルのボーリングを行い、「黒潮の湯」を開発。こうして、犬吠埼は本格的な温泉地としての歴史を歩み始めました。
犬吠埼温泉へのアクセス
公共交通機関
鉄道
最寄り駅は銚子電鉄の犬吠駅で、観光にも便利な立地です。犬吠駅からは徒歩圏内に多くの観光施設が点在しています。
高速バス
バスターミナル東京八重洲発、京成バス(銚子・旭ルート)を利用し、「犬吠埼」停留所で下車すれば、アクセスが可能です。
自動車
一般道路
- 千葉県道254号銚子公園線
- 千葉県道286号愛宕山公園線(銚子ドーバーライン)
高速道路
銚子連絡道路 松尾横芝インターチェンジより、国道126号を経由し、千葉県道286号へ進むことで到着できます。
駐車場
犬吠埼灯台の無料駐車場をはじめ、周辺の海水浴場や宿泊施設にはそれぞれ専用の駐車場があります。
周辺の観光情報
名所・旧跡
- 犬吠埼灯台
- 犬吠テラステラス
- 君ヶ浜しおさい公園
- 銚子電気鉄道線
- 銚子漁港(特定第3種漁港)
- 屏風ヶ浦
- 地球の丸く見える丘展望館
- 銚子ポートタワー、ウォッセ21(水産ポートセンター)
- 銚子海洋研究所(ホエールウォッチング、イルカウォッチング)
文化・歴史的建造物
- 円福寺(坂東三十三観音 第27番、通称:飯沼観音)
- 満願寺(坂東三十三観音 番外)
- 常燈寺(木造薬師如来坐像は国の重要文化財、本堂・宮殿・棟札は千葉県指定文化財)
イベント・祭事
銚子市では、迫力ある銚子はね太鼓などの祭りも開催され、地域文化に触れる機会が豊富です。
日本遺産
銚子市の外川地区は、江戸時代の計画都市としての歴史を今に伝える街並みが残り、日本遺産にも登録されています。
文人たちに愛された風景
犬吠埼をはじめとする銚子の海岸線は、古くから多くの文人・墨客に愛されてきました。市内各所には詩碑や歌碑が数多く建てられています。
犬吠埼を詠んだ代表的な作品
- 高浜虚子「犬吠の 今宵の朧 待つとせん」
- 松尾芭蕉「枯枝に からすのとまりけり 秋の暮」
- 国木田独歩「なつかしき わが故郷は 何処ぞや 彼処にわれは 山林の児なりき」
- 小川芋銭「銚子灘朝暾 大海を 飛びいつる如と 初日の出」
- 尾崎咢堂「朝またき 彼方の岸は アメリカと 聞て瓜立つ おはしまのはし」
- 佐藤春夫「ここに来て をみなにならひ 名も知らぬ草花をつむ...」
- 源俊頼「磐はしる 外川の滝の むすぶ手も しばしはよどむ 淀むせもあれ」
まとめ
犬吠埼温泉は、美しい海とともに心身を癒すことができる温泉地として、観光・保養・文化的探訪の三拍子がそろったスポットです。豊富な泉質、歴史ある温泉宿、アクセスの良さ、魅力的な観光地の数々は、訪れる人々に深い感動を与えてくれるでしょう。