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伊能忠敬記念館

(いのう ただたか きねんかん)

伊能忠敬記念館は、千葉県香取市に位置する博物館です。この記念館は、江戸時代の偉大な地理学者であり測量家であった伊能忠敬の功績を顕彰し、その生涯と業績を広く紹介するために設立されました。

概要

伊能忠敬記念館は、1961年に開館しました。館内には、伊能忠敬の測量器具や地図が展示されており、これらの資料は1957年に重要文化財に指定されました。伊能家の子孫によって寄贈されたこれらの貴重な資料を保存・展示するため、記念館が建設され、開館当初は旧宅の隣接地に収蔵庫が設けられました。

開館の歴史

その後、1998年には、伊能忠敬旧宅の対岸に位置する小野川沿いに、鉄筋コンクリート造の新しい施設が新築されました。この新しい施設は約1,000平方メートルの広さを持ち、佐原の町並みに調和する町家や土蔵風の外観を採用しています。佐原の町並みは、1996年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、記念館の建築もその景観を尊重しています。

館内の展示

伊能忠敬の肖像画

記念館に入ると、最初に目にするのは『伊能忠敬肖像画』(複製)です。この肖像画は、忠敬と共に測量に同行し、風景を描写した青木勝次郎が、忠敬の死後に描いたものです。忠敬は、元々商人でありましたが、士分として描かれ、大小の刀を身に着けた姿で表現されています。この肖像画の上部には、同郷の儒学者であった久保木竹窓による賛が添えられています。

伊能図とランドサット

館内には、『伊能図とランドサットから見た日本』という展示もあります。これは、伊能図と衛星写真(ランドサット)を交互に表示し、江戸時代に作成された伊能図がいかに正確であったかを来館者に体感させるものです。

佐原時代

伊能忠敬が活躍した時代、佐原は江戸時代に発展した町でした。この時代の佐原の様子や伊能家の生活が展示を通じて紹介されています。江戸との物流に活躍した高瀬舟の模型も展示されており、当時の交通手段や商業活動を垣間見ることができます。

全国測量への歩み

伊能忠敬が50歳で隠居後、天文暦学の学習を開始し、江戸に出て幕府天文方であった高橋至時に入門したことは有名です。高橋至時の勧めで、蝦夷地や東日本の測量を行い、その成果が幕府に認められ、忠敬は幕府の役人として全国測量を任されました。彼の全国測量は17年間にわたり続き、これにより日本全国の詳細な地図が完成しました。

筆写書物の展示

忠敬が学んでいた時期に筆写した書物も展示されています。これらの資料は、彼が高橋至時の下で天文学や測量技術を学ぶ際に書き写したものです。

伊能図の世界

館内では、伊能忠敬が作成した地図である「伊能図」の美しさと正確さを楽しむことができます。大図、中図、小図、特別図など、様々な形式の地図が展示されており、江戸時代の日本の姿を詳細に知ることができます。

伊能図の紹介

伊能図の展示では、大図や中図、小図、特別図が展示されており、忠敬がどのように全国を測量し、その成果をどのようにまとめ上げたかがわかります。これらの地図は、当時の技術としては驚くほど正確であり、今日の日本の地形と比較しても、その精度は際立っています。

地図の世界

伊能図以前の地図と比較する展示もあり、佐原の位置や、当時の日本がどのように描かれていたかを見ることができます。これにより、伊能忠敬が成し遂げた功績の大きさがより明確に理解できるでしょう。

伊能忠敬の生き様

記念館では、伊能忠敬が50歳を超えてから天文暦学を学び、測量を行うという、後半生での偉業についてのビデオ上映も行っています。彼の努力と不屈の精神は、現在でも多くの人々に感銘を与え続けています。

文化財としての伊能忠敬記念館

2010年、伊能忠敬記念館が所蔵する『伊能忠敬関係資料』が国宝に指定されました。この資料群には、地図・絵図類、文書・記録類、書状類、典籍類、器具類などが含まれており、合計2,345点にも及びます。

国宝指定の資料群

伊能忠敬記念館に所蔵されている国宝指定の資料は以下の通りです。

利用案内

開館時間

記念館の開館時間は9:00から16:30までとなっています。休館日は月曜日(祝日の場合は臨時開館)と年末年始です。

入館料

入館料は、大人500円、小・中学生は250円です。団体(15名以上)での利用の場合、大人450円、小・中学生200円の割引料金が適用されます。

アクセス

JR東日本成田線佐原駅から徒歩10分、もしくは東関東自動車道佐原香取インターチェンジから自動車で15分の場所に位置しています。

Information

名称
伊能忠敬記念館
(いのう ただたか きねんかん)

銚子・佐原

千葉県