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銚子電気鉄道線

(ちょうし でんき てつどうせん)

ノスタルジックな旅路を彩るローカル鉄道

銚子電気鉄道線(通称:銚電)は、千葉県銚子市を走る全長6.4kmの鉄道路線で、銚子駅から外川(とかわ)駅までを約20分で結びます。全線が銚子市内にあり、関東最東端・犬吠埼(いぬぼうさき)の近くを通る風光明媚なルートです。

2025年4月1日からは、路線全体に「犬吠崖っぷちライン」という愛称が付けられ、観光路線としての魅力がさらに高まっています(2026年3月末までの予定)。路線記号はCD。旅情を誘うレトロな車両や地域に根ざしたユニークな取り組みで、地元住民のみならず観光客からも愛されている鉄道です。

銚電の魅力と特徴

ローカル線ならではの風景と旅情

銚子電鉄の最大の魅力は、レトロな車両とともに走るノスタルジックな風景です。市街地を抜けると、車窓には一面のキャベツ畑が広がり、終点の外川駅に近づくにつれて、昔ながらの漁師町の景色が広がります。心地よい風と潮の香りが、旅人の心をやさしく包み込みます。

ぬれ煎餅とまずい棒 ― 名物商品が支える鉄道

銚子電鉄は経営難を乗り越えるため、鉄道事業以外にも積極的に取り組んできました。代表的なのが「ぬれ煎餅」や「まずい棒」の販売です。これらのオリジナル商品は全国的なヒットとなり、多くのファンを獲得。売り上げは鉄道の維持にも貢献しており、「食べて応援する鉄道」として話題になっています。

駅の数と距離

銚子電鉄は全10駅(起終点駅を含む)を擁し、路線距離は6.4km。軌間は1,067mmで、すべての駅が千葉県銚子市内にあります。

銚子電鉄の歴史

銚子電鉄の歴史は古く、最初の路線開業は1913年(大正2年)にまでさかのぼります。以来、時代の波に翻弄されながらも、地域の人々とともに歩んできました。

創業から再建まで

戦中・戦後の困難

観光路線としての再出発

高度経済成長期以降も、貨物輸送の廃止や経営困難など、幾度となく厳しい局面に直面してきました。しかし、1990年ごろからは観光資源としての再構築を目指し、「ユネスコ構想」などの試みがなされ、駅の改装や列車塗装の変更などが行われました。

1995年にはワンマン運転が開始され、2010年にはダイヤ改正が行われるなど、サービスの見直しも進められています。また、ユニークなマスコットやネーミングライツ駅名の導入など、柔軟な発想で地域とともに歩むローカル鉄道として進化を続けています。

運行形態とサービス

全列車が各駅停車

銚子電鉄では、すべての列車が各駅停車で運行されています。基本的には銚子駅~外川駅間での運行となっており、平日・土休日問わず同じようなダイヤが組まれています。

運行本数の変遷

かつては1時間に2本運行されていましたが、現在は需要に応じて減便され、朝夕の通勤・通学時間帯以外は1時間に1本の運行となっています。また、日中の一部時間帯には列車交換が行われないため、単線区間での運行管理も工夫されています。

ワンマン運転と駅員配置

現在はワンマン運転が主流となっていますが、銚子~笠上黒生間では運賃収受のために車掌が乗務することもあります。駅員の配置率が比較的高いため、観光客にも安心感があります。

観光としての銚電の魅力

レトロ車両と駅舎の趣

銚電の車両は昭和の趣を色濃く残すレトロなデザインで、鉄道ファンからも高い支持を得ています。また、君ヶ浜駅や犬吠駅など、洋風建築を取り入れた駅舎も魅力のひとつ。写真映えするスポットとしてSNSでも人気です。

沿線の観光スポット

体験型観光も充実

銚子電鉄では、駅でぬれ煎餅の手焼き体験ができるほか、車両基地の見学ツアーなども実施されています。鉄道を通じて地域と深くつながるユニークな体験は、家族連れにもおすすめです。

おわりに ― 地域とともに走る銚子電鉄

銚子電鉄は、単なる交通手段にとどまらず、地域のシンボルとして、また多くの人々の想いを乗せて今日も走り続けています。経営再建のための斬新なアイデア、ぬれ煎餅やまずい棒に代表される「遊び心」、そして何よりローカル線ならではの温かさが、訪れる人々の心を惹きつけてやみません。

銚子を訪れた際は、ぜひこの「犬吠崖っぷちライン」に乗って、ゆったりとした鉄道旅を楽しんでみてください。

Information

名称
銚子電気鉄道線
(ちょうし でんき てつどうせん)

銚子・佐原

千葉県