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成田羊羹資料館

(なりた ようかん しりょうかん)

成田羊羹資料館は、千葉県成田市にある米屋株式会社の企業博物館です。この資料館では、羊羹(ようかん)の歴史とともに、米屋の長い伝統や成田市との深い結びつきを紹介しています。日本国内には2館しかない羊羹に関する専門的な資料館のひとつであり、和菓子文化を知る上で貴重な場所となっています。

羊羹資料館の概要

成田羊羹資料館は、成田市の歴史的な参道沿いに位置し、和菓子の一つである羊羹にまつわる多彩な展示を行っています。建物自体も歴史ある雰囲気を醸し出しており、外観は洋館風、内装は大正時代の商家風のデザインとなっています。館内は2階建てで、1階では企画展示を、2階では常設展示を通じて、羊羹の歴史や米屋の成り立ちを紹介しています。

1階:企画展示エリア

1階の企画展示エリアでは、毎年2回のペースでテーマが変わる特別展が開催されます。これまでに、「成田山表参道の発展と土産の歴史」や「昭和時代のお菓子の変遷」といったテーマで展示が行われてきました。これらの企画展は、米屋という和菓子メーカーの企業博物館でありながら、他社の菓子や和菓子文化全般についても広く取り上げ、展示内容に新鮮さを持たせています。

また、映像コーナーでは、羊羹の製造過程を紹介するビデオが上映されており、訪れた人々が伝統的な和菓子作りの裏側を知ることができます。さらに、羊羹付きのおみくじを楽しめる「おみくじコーナー」もあり、訪れた人々が気軽に参加できるアクティビティが用意されています。

2階:常設展示エリア

2階には、羊羹の歴史や米屋の創業者・諸岡長蔵にまつわる資料が展示されています。ここでは、羊羹という和菓子がどのように発展してきたか、その製法や文化的背景を学ぶことができます。展示には、米屋の歴史に加えて、日本全国の羊羹に関するラベルやパッケージなども展示されており、羊羹が日本各地でどのように愛されてきたかを紹介しています。

特に、創業者である諸岡長蔵が羊羹づくりに使用していた道具や、広告ポスター、過去の製品パッケージなどが展示されており、米屋が培ってきた歴史と共に、長蔵の人物像も浮かび上がってきます。戦時中、彼が戦地に送った「缶詰羊羹」や、女優の岩下志麻を起用した昭和時代の「缶入り水羊羹」のポスターなど、当時の文化を感じさせる展示も見どころです。

モラロジーコーナー

成田羊羹資料館には、創業者・諸岡長蔵が生涯にわたって大切にしていた「モラロジー」に関する展示もあります。モラロジーとは、人としての道徳や倫理に基づいた生き方を追求する学問で、長蔵は廣池千九郎博士を支援していました。このコーナーでは、二人の交流や、米屋が掲げる「なごみ」の精神について紹介しています。

成田羊羹資料館の歴史

成田羊羹資料館が開設された背景には、米屋株式会社の成田山表参道における長い歴史があります。1990年代、成田山新勝寺の参拝者数が減少傾向にあり、その影響で参道沿いの店舗も売上に苦しんでいました。米屋は、創業から100周年を迎えるにあたり、企業のリブランディングを進める「リボーン計画」をスタートさせました。

そして、2002年に成田羊羹資料館が開設されました。館名に「米屋」の名を冠しなかった理由は、米屋が成田の街と共に歩んできた歴史を尊重し、地域に根ざした企業であることを強調するためです。

開館以来の来館者数

成田羊羹資料館はその後も順調に来館者を増やし、2005年には来館者数が10万人を突破しました。さらに、2016年には30万人を達成し、成田市内外から多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。

成田羊羹資料館の展示内容

羊羹の歴史

成田羊羹資料館の常設展示では、羊羹がどのように生まれ、現在の形へと進化してきたのかを学ぶことができます。羊羹のルーツは中国にあり、もともとは肉を使った保存食でしたが、日本に伝わり、徐々に甘味のある和菓子として発展しました。この展示では、羊羹の歴史的な背景や、日本各地のさまざまな羊羹の紹介が行われています。

全国の羊羹とパッケージ展示

成田羊羹資料館では、日本全国のさまざまな羊羹を集めた展示もあります。北海道から九州まで、各地域ごとの特徴を持った羊羹のラベルやパッケージを見ることができ、和菓子文化の多様性を感じさせます。特に、昔の羊羹のパッケージは、当時のデザインや広告の工夫を感じることができ、懐かしさを覚える方も多いでしょう。

創業者・諸岡長蔵に関する展示

成田羊羹資料館では、米屋の創業者である諸岡長蔵の生涯にスポットを当てた展示も行っています。彼の愛用品や、長蔵が羊羹を通じて広めた「なごみ」の精神が紹介されており、米屋の創業当時の精神が今も受け継がれていることがわかります。展示には、彼が使用していた机や、彼が開発した製品に関する資料などが含まれています。

利用案内とアクセス

成田羊羹資料館は、千葉県成田市の成田山表参道に位置しており、アクセスも非常に便利です。最寄りのJR成田駅および京成成田駅から徒歩約10分の距離にあります。また、米屋総本店の裏手に位置しており、成田山新勝寺の参拝と合わせて訪れることもできます。

開館時間と休館日

成田羊羹資料館の開館時間は、通常10時から16時までとなっています。ただし、正月の三が日は9時から17時まで開館しており、特別な催し物も予定されています。休館日は、展示替えの日に限られ、年間を通じてほぼいつでも訪れることができます。入館料は無料で、気軽に訪れることができる点も魅力です。

まとめ

成田羊羹資料館は、羊羹という和菓子をテーマにした珍しい資料館であり、和菓子文化に興味がある方や、成田山参拝の際に訪れる観光客にとっても興味深いスポットです。米屋の長い歴史や成田との深いつながりを学びながら、伝統的な和菓子文化を存分に楽しむことができます。

Information

名称
成田羊羹資料館
(なりた ようかん しりょうかん)

成田・佐倉

千葉県