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旧堀田邸

(きゅう ほったてい)

旧堀田邸は、千葉県佐倉市に位置する、旧佐倉藩主である堀田正倫伯爵が明治時代に建てた邸宅です。国の重要文化財に指定されており、その正式名称は「旧堀田家住宅」とされています。歴史的な価値を持つこの邸宅は、当時の日本の伝統的な建築様式と西洋の技術が融合した貴重な建造物として高く評価されています。

旧堀田邸の概要

建築の背景と時代背景

旧堀田邸は1890年(明治23年)に堀田正倫伯爵によって建てられました。堀田正倫は、明治2年の版籍奉還まで最後の佐倉藩主を務め、明治4年の廃藩置県まで佐倉藩知事としての役割を果たした人物です。この邸宅は、彼がその後に拠点とした場所で、華族としての生活を営んだ歴史的な邸宅です。

建築の特徴

旧堀田邸は、和風建築の「つば造り」や「火打ち貫」といった伝統工法が用いられている一方で、ボルトやナットを使用する西洋建築の工法も取り入れられています。これは、明治期の建築技術が和洋折衷の過渡期にあったことを示す重要な証拠です。

庭園の設計

邸宅の庭園は、当時の有名庭師である珍珠園の伊藤彦右衛門によって設計されました。この庭園は、四季折々の風景が楽しめる日本庭園として高く評価され、訪れる人々に安らぎと美しさを提供しています。

旧堀田邸の文化財としての価値

国の重要文化財指定

旧堀田邸は、歴史的な価値が認められ2006年(平成18年)7月に国の重要文化財に指定されました。指定された建造物には、住居部の5棟(座敷棟・居間棟・書斎棟・玄関棟・湯殿)門番所土蔵が含まれています。

庭園の名勝指定

庭園部分もまた、その美しさと歴史的価値から2015年に「旧堀田正倫庭園」として国の名勝に指定されました。この庭園は、四季折々の風情を感じられるだけでなく、当時の日本庭園文化を象徴する存在として、多くの観光客や歴史愛好家に訪れられています。

ちば遺産100選に選定

また、2008年には「旧堀田家住宅と庭園」が「ちば遺産100選」に選定され、千葉県内の重要な歴史的・文化的遺産としてその価値が認められました。

保存の歴史

旧堀田邸保存運動

旧堀田邸は、堀田家の所有から後に日産財閥の結核対策機関「佐倉日産厚生園」が1942年に借地し、1952年には敷地全体を買収しました。その後、1962年に一般病院となりましたが、1975年に売却計画が持ち上がりました。この時、佐倉市民からは邸宅をレクリエーションの場として利用していたため、保存を求める声が上がりました。

市民の保存運動

市民の間で署名運動が行われ、約4万人の署名が集まりました。この動きを受け、佐倉市は国庫補助を受けて邸宅の買収を決定。庭園部分は「さくら庭園」として整備され、建物部分は佐倉緑の銀行によって保存されることが決まりました。

旧堀田邸の見どころ

邸宅内部の見どころ

旧堀田邸の内部には、明治時代の上流階級の生活様式を感じさせる部屋が多数残っています。居間棟座敷棟では、当時の華やかな装飾が施された部屋や、質の高い建築技術を堪能することができます。また、書斎棟では堀田正倫が過ごした書斎がそのまま保存され、彼がどのような日々を過ごしていたのかを感じることができます。

門番所と土蔵

旧堀田邸には、門番所土蔵も保存されており、当時の邸宅を取り囲んでいた施設がそのままの形で残っています。これらの建物は、堀田家がどのように生活し、日常を送っていたのかを垣間見ることができる貴重な資料です。

庭園の美しさ

旧堀田邸の庭園は、四季折々の自然を楽しむことができる場所です。梅林や果樹園が設けられ、庭師の伊藤彦右衛門の手によって造られた美しい風景が広がっています。特に春には梅や桜が咲き誇り、訪れる人々に癒しの空間を提供しています。

旧堀田邸の利用情報

所在地

千葉県佐倉市鏑木町274番地に位置し、アクセスしやすい場所にあります。周囲には歴史的な街並みが残り、旧堀田邸を訪れる際には佐倉市の他の名所も一緒に楽しむことができます。

開館時間と休館日

料金

旧堀田邸の入館料は大人320円です。文化財としての価値を楽しむためには手頃な料金で、家族連れや観光客にとっても訪れやすい施設です。

まとめ

旧堀田邸は、歴史的な価値を持つ華族邸宅として、明治時代の日本文化と西洋建築の融合を体現しています。その美しい庭園と共に、訪れる人々に時代の移り変わりを感じさせる特別な場所です。文化財として大切に保存されている旧堀田邸は、佐倉市の歴史的観光スポットの一つとして、歴史や建築に興味のある方にとって必見の場所です。

Information

名称
旧堀田邸
(きゅう ほったてい)

成田・佐倉

千葉県