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柳原水閘・栗山配水塔

(やなぎはら すいこう くりやま はいすいとう)

千葉県松戸市には、歴史的かつ工学的に優れた構造物がいくつか存在します。その中でも特に注目すべきは、柳原水閘と栗山配水塔です。これらの施設は、治水や水供給のために重要な役割を果たし、今もなおその美しい姿を留めています。今回は、これらの施設について詳しくご紹介します。

柳原水閘の概要

柳原水閘は、1904年(明治37年)に千葉県松戸市に建設された河川の水門です。この水門は、江戸川流域に位置する坂川の治水を目的として設けられたもので、坂川普通水利組合によって設計されました。特筆すべきは、その美しい四連アーチ構造の煉瓦造りであり、現在でもその壮観な姿が保存されています。

設計と構造

柳原水閘の大きさは、河川の横断方向に17メートル、縦断方向に13メートルに及びます。アーチ部分は煉瓦造りおよび石造りで、橋脚部分は石造りという堅固な構造を持っています。設計を手がけたのは、鬼怒川水力電気事業や京浜運河工事の設計を行った技師・井上二郎であり、彼の技術と美的感覚がこの水門に反映されています。

文化財としての価値

現在、柳原水閘は水門としての役割を果たしていませんが、文化財としての価値が認められ、1995年に松戸市指定文化財に指定されました。また、2004年には100周年記念式典が行われ、同時に土木学会選奨土木遺産にも認定されています。さらに、2007年には経済産業省によって近代化産業遺産に認定され、今も多くの観光客や歴史愛好家に訪問されています。

交通アクセス

柳原水閘へのアクセスは、北総鉄道矢切駅から徒歩約20分、またはJR常磐線・新京成線松戸駅西口から京成バス市川線「松11」系統で市川駅行きに乗車し、「栗山」停留所で下車後、徒歩約15分で到着します。水門の上は現在、自動車が通れる道路となっており、周辺は散歩にも適しています。

栗山配水塔の概要

栗山配水塔は、柳原水閘から約500メートルの場所に位置する上水道施設で、千葉県松戸市栗山浄水場内にあります。この施設は1937年(昭和12年)に建設され、現在もなお現役で使用されています。2006年には土木学会選奨土木遺産に認定され、さらに2017年には千葉分場1号配水池と共に登録有形文化財(建築物)にも登録されました。

栗山配水塔の設計と特徴

栗山配水塔は、鉄筋コンクリート造で高さ31.9メートル、内径15メートル、貯水容量は3,534立方メートルの巨大な貯水施設です。ドーム型の高架水槽の頭頂部には、4本柱の換気口があり、独特の外観を持っています。設計者については未だ不明とされていますが、当時の千葉県水道局長であった式田十郎が施工に関与していたとされています。

沿革と文化財としての認定

栗山配水塔は、1937年に千葉県営水道創設事業「千葉県水道事務所江戸川水源工場(古ヶ崎浄水場)」の付帯施設として建設されました。その後、栗山浄水場の管理下に置かれ、現在も千葉県の水供給を支える重要な施設として稼働しています。2006年には土木学会選奨土木遺産に認定され、さらに2017年には登録有形文化財としての地位を得ました。

交通アクセス

栗山配水塔へのアクセスは、北総鉄道矢切駅から徒歩5分の距離にあります。柳原水閘との近さもあり、両施設を一度に観光することができる便利なロケーションです。

柳原水閘と栗山配水塔を巡る観光コース

松戸市の歴史的建造物を巡る際、柳原水閘と栗山配水塔はセットで訪れることをお勧めします。柳原水閘はその四連アーチ構造の美しい造りを間近で見ることができ、栗山配水塔は巨大な貯水塔の迫力を感じることができます。歴史的背景を学びながら、これらの施設を巡る観光は、松戸市の工業遺産の魅力を存分に味わえるものです。

散策のポイント

柳原水閘の周辺は、坂道もあり散策するのに少し体力を必要としますが、自然に囲まれた美しい景観が広がっています。散策中には、歴史ある煉瓦造りの水門を眺めつつ、松戸市の自然と歴史に触れることができるでしょう。栗山配水塔へは柳原水閘から徒歩圏内で、効率的に観光を楽しむことができます。

まとめ

千葉県松戸市には、柳原水閘や栗山配水塔といった歴史的建造物が数多く存在し、それぞれが持つ魅力と歴史的価値は、地元だけでなく全国的にも注目されています。これらの施設は、当時の工学技術や建築技術を体感できるだけでなく、文化財として保存されているため、未来に向けた貴重な遺産でもあります。松戸市を訪れる際には、ぜひこれらの施設を巡り、歴史と文化に触れてみてください。

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名称
柳原水閘・栗山配水塔
(やなぎはら すいこう くりやま はいすいとう)

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