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法王山 万満寺

(まんまんじ)

千葉県松戸市馬橋に位置する万満寺(萬満寺)は、臨済宗大徳寺派に属する歴史ある寺院です。山号は法王山で、本尊は阿弥陀如来です。特に「仁王さまの股くぐり」として知られており、金剛力士像(仁王像)は国の重要文化財にも指定されています。本堂や仁王門、護摩供養など、歴史と文化が息づく場所です。

万満寺の歴史

創建と発展の歴史

万満寺の歴史は鎌倉時代にさかのぼります。建長8年(1256年)、下総国守護であった千葉頼胤(ちば よりたね)が高僧・忍性を招き、真言宗の大日寺を創建しました。当初は千葉市稲毛区轟町にありましたが、後に臨済宗に改宗されました。

室町時代に入ると、千葉満胤(ちば みつたね)が寺院を再興し、鎌倉公方であった足利氏満から「満」の一字を頂戴し、寺名を「万満寺」に改名しました。このように、千葉氏の強い後援のもとで、万満寺は大きな影響力を持つ寺院へと成長しました。

大火による被害と復興

天文6年(1537年)、万満寺は千葉氏の家臣である高城胤吉(たかぎ たねよし)から寺領の寄進を受け、さらに発展を遂げました。しかし、明治41年(1908年)には大火によって寺院のほとんどが焼失してしまいました。この火災は、明治時代の汽車から飛び散った火の粉によるものでした。長年の復興活動の末、昭和62年(1987年)に新しい本堂が完成し、現在の姿を取り戻しています。

万満寺の文化財

国指定重要文化財

木造金剛力士立像(仁王像)

万満寺の最も有名な文化財は、鎌倉時代に作られた木造の金剛力士立像です。この像は「仁王像」とも呼ばれ、国の重要文化財に指定されています。寺伝では、運慶作とされていますが、日本各地に存在する仁王像と同様に、実際の作者は不明です。しかし、関東地方に現存する仁王像の中では最も古く、非常に優れた芸術的価値を持っています。1916年には、当時の古社寺保存法に基づき旧国宝に指定され、現在も多くの参拝者を魅了しています。

松戸市指定有形文化財

木造阿弥陀如来坐像

万満寺の本尊である木造阿弥陀如来坐像は、松戸市の指定有形文化財となっています。この仏像は、万満寺の信仰の中心として長い間崇められてきました。古くから多くの参拝者が訪れ、阿弥陀如来に心を込めて祈りを捧げています。

木造不動明王立像

また、木造不動明王立像も松戸市指定の有形文化財です。この像は、万満寺の護摩供養の際に重要な役割を果たす存在であり、地域の人々に深く信仰されています。

鋳造魚籃観音立像

鋳造の魚籃観音立像も、万満寺の重要な文化財の一つです。この観音像は、観音信仰の象徴であり、多くの参拝者がその慈悲の心に触れるために訪れています。

万満寺の習俗と行事

万満寺では、年中行事として護摩供養や施餓鬼供養が行われています。これらの行事は、万満寺の檀家を中心に行われており、地域の伝統的な習俗として受け継がれています。

護摩供養(1月成人の日)

護摩供養は、1月の成人の日に行われます。かつては1月15日に行われていましたが、現住職の代になって成人の日に変更されました。この日には、参加者に食事と般若湯が供され、地域の人々が集い、厳かに祈りを捧げます。

施餓鬼供養(8月16日)

8月16日には、施餓鬼供養が行われます。この行事では、先祖や餓鬼道に落ちた霊に対して供養が行われ、仏の慈悲による救済が祈られます。参加者には食事が供され、法話も行われるため、仏教の教えを深く学ぶ機会ともなっています。

唐椀供養(春・秋の祭礼)

春と秋の祭礼時には「唐椀供養」として、精進料理が供されます。この供養は、地域の伝統的な行事として多くの人々に親しまれています。

万満寺の建造物

仁王門

万満寺の山門を通ると、立派な仁王門が目に入ります。この門には、国指定重要文化財である金剛力士立像が安置されており、参拝者を威風堂々と迎えます。「仁王さまの股くぐり」という風習もこの門に由来しており、参拝者が仁王像の股をくぐることで、健康や家内安全を祈願するとされています。

本堂

万満寺の本堂は、昭和62年(1987年)に新たに建設されたものです。この本堂では、毎年行われる護摩供養や施餓鬼供養など、様々な法要が執り行われます。本尊である阿弥陀如来が安置されており、参拝者が静かに祈りを捧げる場所として親しまれています。

万満寺へのアクセス

鉄道でのアクセス

万満寺は、JR常磐線および流鉄流山線の馬橋駅から徒歩約5分の距離にあります。この近さが災いし、明治41年(1908年)には汽車の火の粉によって伽藍が火事になったこともありました。現在では、参拝者が気軽に訪れることができる便利な場所にあります。

バスでのアクセス

新京成線常盤平駅方面からは、松戸新京成バスの馬橋線(常盤平駅北口=馬橋駅入口)を利用し、終点である馬橋駅入口バス停前で下車すると、すぐに万満寺に到着します。バスを利用してのアクセスも非常に便利です。

万満寺を訪れて

万満寺は、鎌倉時代から続く長い歴史と、貴重な文化財を有する寺院です。特に仁王門に安置された金剛力士立像は圧巻で、訪れる人々に強い印象を与えます。また、護摩供養や施餓鬼供養など、地域に根ざした習俗も魅力的です。松戸市に訪れた際には、ぜひ一度万満寺を訪れて、その歴史と文化に触れてみてください。

Information

名称
法王山 万満寺
(まんまんじ)

柏・松戸

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